「貞子vs伽椰子」この既視感…あっ!!工藤さん!!そして感動の、女の友情へ…
やっと見ました!感想、バリバリネタバレで書きたいと思います(*ω*)
白石晃士監督。99分、2016年。
シリーズの過去作でいうと、私は「リング」「らせん」「米国版」、呪怨は「1」「米国版」を見た記憶があります。
まあでもこの「貞子vs伽倻子」は何の前知識がなくても大丈夫ですね(むしろなくても良いくらい?)
あらすじ
「リング」シリーズの貞子と「呪怨」シリーズの伽椰子が対決するホラー。呪いのビデオを手にした女子大生・有里と、呪いの家に足を踏み入れた女子高生・鈴花。ふたつの呪いを解くため、呪いの家で呪いのビデオを観るという計画が実行される。
貞子姉さん、呪いのビデオ映像でも井戸から出て来ませんし。
ビデオ視聴からのタイムリミットって1週間後じゃなかったかしら?本作では2日後になってます。イラチになっている姉さん。
伽椰子さん俊雄ちゃんペアの方も、家に入った人間をすぐゴキブリホイホイのように捕まえます。早い!速い!
除霊師・常盤と工藤が重なる
白石監督の過去作「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズをご覧の方は、この除霊師・常盤のキャラとガイキチディレクター・工藤が重なったことでしょう。
「呪いには呪いをぶつける」という発想、最終盤には「お前ら二人のどっちかに犠牲になってもらう」と女子高生女子大生に言ってのけられる正義感のなさ。
まんま工藤です。こちらはイケメン安藤くんになってますが。
白石監督ファンにとっては、「貞子の髪の毛を麻袋に捕まえて武器として使う」て展開に胸が熱くなったはず。
黒い髪の毛を不衛生で気持ち悪いモノとして撮らせたらピカイチです。
貞子と伽椰子の白石的味つけ
amazonビデオのプライム特典でメイキング的な23分の映像が見れたので、そちらも見てみましたところ、白石氏は貞子も伽椰子も「人間とは違う動きをする」ということに気をつけたそうです。
貞子は人間よりもゆっくりとした動き、伽椰子は対して「動」の動き、ゴキブリやムカデを想起させるように演出したみたいです。
カヤちゃん、確かに呪怨の時より若干不衛生さが増していた感じがしました。髪コテコテやし。
伽椰子役の遠藤留奈さんは舞踏経験もある、オバケ役を多くこなす女優さんだそうで、四つん這いの肩の張り方がなかなかに怖かったです。
あと、白石的ホラー演出として「ちゃんと見せない」こともポイントだとか。
よくわかってらっしゃる!
ホラー小説家の平山夢明氏と稲川淳二氏の対談を読んだときにも書いてましたが、人の死体とかも、ジーッと見てると段々大丈夫になってくるそうです。
チラッ!コワッ!みたいなのが恐怖を増幅させるんですね。
大メインクライマックスは女の友情だ!
ネタバレしますと、貞子と伽椰子、闘いの末にドーンとぶつかって、山本美月ちゃんを依り代に大融合してしまうわけです。
なるほど良いオチだと思いました。
彼氏の浮気が発覚して、彼氏とは別れたけど相手の女となぜか親友になってしまった、みたいな話ってけっこうありませんか?
敵の敵は味方です。
貞ちゃんもカヤちゃんも、人に殺されたっていう境遇や、誰でもいいから呪い殺してやる!みたいな思考回路が共通してるので、融合しちゃうのもわかるな~。
「ウチら最強ーっ!☆」みたいな。
さぁ呪いの動画もネットで拡散されたわけですし、サヤコはこれから忙しくなりますね!
今夜のホラー考まとめ
白石監督はやっぱ怖いと面白いの2つの味をいっぺんに食べさせてくれます!
チラッ!は怖ッ!
あとトシオちゃんの不思議なレロレロは笑いどころ。
「目嚢(めぶくろ)」昔の怖い話はのぺっとしてて怖いです
加門七海さんの小説を読むのはこれが2冊目。じっとり怖くもあり嫌な感じもありましたー。読書感想文です。
なんとなくゴヤのサトゥルなんたらの絵を思い浮かべてしまうお話でした。こえー!
「祝山」の続編です
加門七海さんの小説「祝山」の主人公・鹿角南が再び怖い目に遭うお話です。
前作は友だちが勝手に心霊スポット探索して悪いものくっつけて帰ってきて、それに巻き込まれてしまったのでめっちゃイヤイヤだった南ですが、今回は「いとこの旦那の実家にあった古い文献を読み解く」という、南自身も歴史好きということで割とノリノリで取り組むうちに怖いことに巻き込まれていきます。
涙袋じゃなく
「目嚢」とは、江戸時代に怖い話ばかりを聞いて集めた「耳嚢」をもじって、「見えたモノを記す」という意味で、作中出てくる古い日記を書いた人が自身の日記をそう名付けているものです。
ヒアルロン酸入れてぷっくりさせるアレかなと思ってましたが、それは涙袋ですね(*ω*)
古い文体で書かれた日記は淡々としてて、一見すると日常のことを書いているようにも思えるのですが、主人公・南は途中で「本当に”見える”人が書いてるっぽい…!」と気づきます。
日記ののっぺりした文章が薄ら怖いのです。
なんかやっぱり「怖い」というのは内容じゃなく伝え方なのかもしれないと思えてきます。
すっごい怖いことは起きないんだけど
虫が!とか、幻聴が!とか、主人公に起きる怖い現象といえばその程度だったりするんですが、加門七海さんの表現力がぞぞーっとさせてくれます。
「紙で指がピッと切れる」「その傷がなかなか治らない」なんて日常よくあるけどテンション下がるわーなんてことも、主人公の身に起こります。今こうやって書いてても普通なんですが、小説ではなんか嫌な感じなんです。上手なんですよね、きっとこれって。
家相ってやっぱりあるのかしら
日当たりが悪くてジメジメしてるとか、道のどんつきの家は良くないとか、若い時は「帰って寝るだけだし別に何でもいいわい」と思ったりもしましたが、家相の悪い家に当たってしまうのって恐怖だなーと大人になって思います。
この小説とは関係ない話なんですが、大島てるさん(事故物件サイト運営者さん)が言ってたことを思い出しました。
「自殺のあった物件が家相が悪いとかは分からないが、殺人や強盗など犯罪被害に遭った家なんかはやっぱり、人通りが少ない路地だったり街灯が少なくて暗かったりっていう狙われやすい環境もあったりするので、そういう意味でも事故物件の情報は大事だと思う」
的な事だったと思います。うーん確かに。
家相のせいで、嫌な事件怖い事件が重なって、さらに家相の悪さが熟成されていく…みたいなことってありそうだなと。
そのへんは小野不由美さんの「残穢」も似てるなあ。
日本のイエ文化が深く関わっているのかなー。
モンゴルで遊牧して暮らしてる人たちは、どんな幽霊が見えるんだろう。
(残穢の映画版の感想も書いております↓)
今夜のホラー考まとめ
雨が降る夜に一人で実家で読んだら泣いてたかも、な小説でした
梅雨時期におすすめかも!
新書「検索禁止」オカルト好きの入り口にいい…のか?
テレビ&映画「放送禁止」シリーズ、小説「出版禁止」の長江俊和氏が書いた最新作は新書!そして「検索禁止」!
ということで中身もよくよく見ずにレジに持っていき楽しみに読みました…が、浅く広く基本的なことが多くて、そういう意味ではまさに新書なんですが、長江氏が手がける必要があったのかどうなのか…(>_<)
「出版禁止」文庫化されるタイミングで出た新書ですし、帯に「『出版禁止』の人気作家が放つ」みたいな売り文句が書いてあることを見ても便乗した感があります。
(まんまとのせられてしまいました)
前半はほんとに「検索禁止」なワードの紹介
前半の「検索してはいけない言葉」は、NEVERまとめやなんかでもいくらでも紹介されているものが列挙されています。
くねくね、カシマさん、コトリバコ、トミノの地獄、暗い日曜日…
だいたいみんな知っているのでは?というものですよね。
posoとか、グロなワードは意図的に除外されているようにも感じます。
モタ男、グリーン姉さんくらいかな? でもコンビニで売ってるペーパーバックの本と変わりないような中身です。。
ソニー・ビーンとかエド・ゲインとか貞子とか
現実にあったことがフィクションにも影響を与えている、ということで書かれた章ではソニー・ビーン事件(人喰い人間ということで進撃の巨人とつなげていました)、『サイコ』の元になった「プレインフィールドの屠殺人・エド・ゲイン」についてなどなどが紹介されていました。
んんんー、本当にこのあたり、長江氏が書く必要性があまり分からず。。
こういうくくりで事件を紹介しているということに意味がある、と考えるよりほかありません。
しかし、ちょっとテーマやネタは違いますが、映画の題材となった都市伝説についてド真剣に読み解く本として『映画で読み解く「都市伝説」』の方がかなりオススメです。
(急に長江氏が書いてない本の話でスミマセン)
長江氏ならではの章も
「エレナ・究極のラブストーリー」については、アンビリバボーで長江氏が紹介したものだったようで、長江氏が「検索してはいけない言葉」の一つを作っていたりもするんだなあと、ここで初めて本のタイトルをかすめるような内容がでてきました。
また、氏の作品「放送禁止」や小説「出版禁止」「東京二十三区女」の制作経緯と、作品にまつわるトリビアがチョロっと紹介してあるのは、ファンとしては嬉しいところ。
古代帝国軍っていう思想団体のことを知らなかったので、そういうのを取材した経験が放送禁止につながっているのか…とか、へえ~なこともありました。
あとは「バニシェフスキー事件」「古屋栄雄事件」は私は今まで聞いたことがなくって、昔のアンビリバボー的なノリで読むことができて興味深かったです。
と、一度でも暇つぶしで「検索してはいけない言葉」を検索して回ったことがあるホラー好きの諸兄諸姉は、購入しても肩すかしかもしれない本書。
氏の制作物が好きで、ほんのちょっとでもいいから裏話聞きたいわぁって方は手に取ってみてもいいかもしれない、そんなノリのライトな新書です。
今夜のホラー考まとめ
暇でNEVERまとめとか2ちゃんまとめとか読みまくったりしないほうがいいのかもしれない
「ショック!戦慄の恐怖映像」恐怖っていうかアハ体験
MX(関西ではサンテレビ)で放送が始まったTV番組。
「好評につき第2弾!」と番組紹介に書いてありましたが、エンドロールの名前を見るに、やはり今年1月期に放送されていた「【閲覧注意】SCOOP!恐怖映像 シーズン1」の事実上のシーズン2ということになりそうです。
なんとなく今回も見てみました。
しかし、SCOOPの方は10分番組だったのに対し「ショック!」は5分番組とスケールダウン(´-`;)
さらには1回の放送で恐怖映像の本数も1本のみ。
モノが映っている部分の前後をゆったり長くしているといった感じ…
なんていうか、おやすみ前のひとくち恐怖映像という感じです。
初回の恐怖映像は、ビル屋上の謎の小屋を見物に行った若者が、当該ビルの隣の建物から撮影したというものでした。
謎の小屋(ていうか屋上ってだいたい階段を囲う小屋状のものってありますよね?)についている窓やドアを映していますが、幽霊は結局、ビルの手すりあたりにモンヤリと現れた白い女の影みたいなものでした。
怖い!というより間違いさがしというかアハ体験のような感じです。
エンドロールの最後に現れる
「これはフィクションである」
というテロップに清々しさを覚えます。
しかし、エンドロールをバックにナレーションが次のように入ってました。
心霊・怪奇・あらゆる恐怖を写したとされる戦慄の映像。投稿者たちは様々な時、場所、状況でその瞬間を撮影している。いまみていただいた映像について、その真意は、皆さん自身の目で確かめてもらいたい
映像の真意て…??
これがもし、長江俊和監督の「放送禁止」みたいなギミックが入った番組なんだとしたらすごいですけども(たぶんちがう笑)。
「ドント・ブリーズ」サイコ座頭市のホーム・アローン
監督はフェデ・アルバレス。2016年。
製作にサム・ライミ氏が入ってます。この「製作」っていうのはどれくらいの関わり具合なのか素人の私にはよくわかりません…
アルバレス監督は自主制作の短編映画がサム・ライミ氏の目に留まって、2013年の『死霊のはらわた』リメイク作を監督しています(サム・ライミ氏製作)。
このリメイク版『死霊のはらわた』は未見なのですがゴア表現がどしどし出てくるようで。
今作ももしかしたらグログロなんかな…、と思っていたら、精神的な緊張感と恐怖が満載でした(o´▽`o)
オバケは、宗教観とかがあるから根本の部分で共感できないこともありますが、やっぱり「ヤバい奴」は万国共通で怖い。
殺伐とした時代になって、我々がオバケを怖がる余裕をなくしてきちゃったんでしょうか…
あらすじ
ティーンネイジャーのロッキー(ジェーン・レヴィ)は生活能力が全くない両親のもとから幼い妹を連れて逃げるための逃走資金を必要としていた。
そんな時、恋人のマニー(ダニエル・ゾヴァット)から、地下室に大金を隠しているとの噂される盲目の老人宅へ友人のアレックス(ディラン・ミネット)と3人で強盗に入る計画を持ちかけられる。
真夜中にそこへ忍び込み、孤独な盲目の老人(スティーヴン・ラング)から大金を手に入れるのはいとも簡単なはずだったが・・・。
そこにいたのは目は見えないが、どんな“音"も聞き逃さない超人的な聴覚を持つ老人・・・。
そして想像を絶する<異常者>だった。
寝室、キッチン、屋根裏、クローゼット、バスルーム・・・どこに逃げようが、ヤツは“音"を聞きつけものすごいスピードでやってくる。
家中の明かりを消され、逆にハンディキャップを与えられ、逃げ道を失った彼らだったが、なんとか老人に見つからず地下室までたどりつく。
そこで目にしたものはあまりにも衝撃的な光景。
ロッキーの悲鳴が鳴り響く・・・。
彼らはここから無傷で出られるのか・・・。
天誅!と思おうとする努力が実らない笑
盗っ人をはたらこうと家に忍び込む若者が悪いんですから、「これは大人の『ホーム・アローン』だ…」と、盲目の老人の方に感情移入すれば怖さも薄れるだろうと努力して最初見てました。笑
しかし緊張感のある描写と、盲目とはいえ元軍人で殺人に対する技術に長けている老人の圧倒的な戦闘力に、どうしても「よしよし老人頑張れ、天誅や!」と思えません。
サム・ライミ氏の作品は、ホラーといえどちょっとチャーミングな部分があってフッと緩む瞬間があると思うんですが、この作品はもうずっと怖い。
作品冒頭のシーンが、結末を読ませないようにする編集だったりして。展開も二転三転するので濃く感じました。
見終わってしばらくしてから思い返してみると、あの編集はちょっとあざといかなと思ったりしなくもない笑
ですが、見る側を振り回すためには、まず世界観に引き込んでいないといけない訳で。上手なんだなあと思いました。
無名の新人、てホントなの?くらい落ち着いてます
若い監督さんの映画って「俺こういうシーン撮りたいんや!」みたいな、ドヤ感があるけど映像の文脈として必要?みたいなカットがいっぱいな作品もありがちですが、この作品は分かりやすく落ち着いている印象。
盲目の人間の家に忍び込んだという設定上、説明をセリフで処理することもできないので映像の積み重ねで状況を分からせないといけないという制約も見事に緊張感として昇華してると思います。
ホラーの王道も
ネタバレすると、最終的には盗っ人チームの紅一点が頑張るんですが、かよわい女の子が1人で何とか頑張るというホラーの王道に向かっていく感じがとても心地よかったです。
犬に襲われて、逃げ場を失ってもうどうしよう!な『クジョー』のオマージュ的なシーンもあり、『クジョー』好きとしては心拍数上がりました。
サイコ野郎が飼ってる犬はもう犬じゃなくて猛獣だ!
ぜんっぜん関係ない余談
『ドント・ブリーズ』を見て、ヤバい奴とヤバい家、といえば『ミザリー』もすごく良かったなーと思い出しました。
こないだ録りためてたAstudioを見てたら、小日向文世さんが『ミザリー』を最初コメディだと思って見てたらサイコスリラーだった!というエピソードを話してて笑いました。
ロブ・ライナー監督がっくりだろうなぁ笑
今夜のホラー考まとめ
犯罪は、計画的に!☆
「アイアムアヒーロー」完結でゾンビもののオチのつけ方について考える
結論はないですし、最終的には好みでしかないので、どうということはありませんが、「アイアムアヒーロー」の最終巻を読んで、ゾンビもののオチのつけ方について改めて考えてみました。
オチを考えるので、ネタバレ満載です。
全員やられちゃうパターン
「サンゲリア」なんかは確か全員がやられちゃって、一方その頃ニューヨークみたいな都会でも惨劇が起こりつつあるよ…!みたいな終わり方だったように思います(記憶あいまい)
友人がゾンビになったら、君は殺せるか!?という王道もここに入っております。
「バタリアン」も、最後はちゅどーん!まるごと爆破されます。
ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」も確か登場人物ぜんぶやられたような。
とりあえず生還するパターン
ゾンビ映画の父、ロメロ監督の「ゾンビ」がそうであるように、一つのドラマの一部始終として「とりあえず生還」がありますね。
ホラーの王道だとも思います。
ヘリで遠くへ逃げ去る主人公。
あっ、「アイアムアヒーロー」のヘリコプターは「ゾンビ」へのオマージュも入ってるのかしら。
「ドーンオブザデッド」も、モールで過ごした連中がバスでワーッと脱出して、ヨットで桟橋から何とか逃げてエンドロール。
しかしヨットでも燃料や食料が尽きて…やっと辿り着いた島?も結局ゾンビだらけでした…!という、一転「全員やられパターン」でした。
「28日後…」も確か政府の助けが来ます。これもヘリだったなあ。
完全に解決するパターン
コメディですが「ショーンオブザデッド」は政府が助けに来てくれて、なおかつ、ゾンビ化してしまった友人との共同生活も上手くこなします。
「ワールドウォーZ」は主人公が元国連のスゴイ人で世界を股にかけてゾンビの謎を解明して世界を救っちゃいます。
ここでのゾンビウイルスは、他の予後不良な病気に罹っている人間には襲い掛からないっていう特性があって、それを主人公が発見します。
で、「アイアムアヒーロー」は
「アイアムアヒーロー」は、「生還するけど解決がちょっと弱いパターン」なんだと思います。
主人公が普通の男であるために、結局ZQNが何だったのか、クルスの存在も分からないし、3.11の地震が起こっても被害の規模についても知り得ない。
というリアルをそこだけ追求したんだろうなあ…英雄、一度は「あっち側」に飲み込まれて、集合意識みたいなものに一瞬は触れているのになあ。。
きちんと考察したわけじゃないので私が取りこぼしていることもありそうですが…
終末モノの漫画としては「ドラゴンヘッド」が思い当たりますが、あっちは「あーこれ色んなこと説明する気がないな!」と思わされて、風呂敷の畳み方よりもどんな大変な状況に中学生が飲み込まれていくかっていう面白さがメインだったように思います。
「アイアムアヒーロー」は、途中まですごくそういう意味ではワクワクしました。
完全にオチをつけるためには、なぜゾンビになるのか、どういう対処法をとるべきかの説明がしっかりしないといけないわけで、そうなるとホラーというよりSF感が強まってしまいます。
そういう意味では怖さはだいぶん減ってしまうのだけど、私は「ワールドウォーZ」がけっこう好きです。
あと「アイアムレジェンド」もすごく好きです。
「アイアムアヒーロー」の巨大ZQN沈黙後の世界を読んで、「アイアムレジェンド」をもう一度見たくなった次第です。
今夜のホラー考まとめ
説明してほしい!というモヤモヤと説明しないから怖い!のラインが分からない…
ホラーって難しいんですなあ。。
そういう意味では、映画版の「アイアムアヒーロー」は「ただのゾンビ映画」としてめっちゃ良くできてたと思います。
「死霊館」大陸産の悪霊はパワフルですなあ
監督は「SAW」のジェームズ・ワン氏。
2013年公開、112分。
今回特典映像を見て初めて、監督が中国系の人って知りました。
マレーシア生まれで中国系で幼少期にオーストラリア移住、11歳から映画製作を志し「SAW」は26歳で撮ってる!!エリートですなぁ…。
あらすじ
1971年、ロードアイランド州ハリスヴィル。野中にポツンと建つ古びた一軒家に、ロジャーとキャロリンのペロン夫妻と5人の娘たちが引っ越して来た。一家は新しい生活に胸を躍らせるが、翌朝から様々な異変が一家を襲い始め…。『ソウ』のジェームズ・ワン監督作、実話に基づき人間の耐え得る限界を超えた凶暴な恐怖を描く衝撃作。映倫PG12
久々に怖くてビビる
冒頭のアナベル人形のくだりで「あ…これマジで怖いやつや!」と思い、音量を絞って音声を日本語吹き替えにし、なおかつ日本語字幕を表示することで目を散らして怖さを軽減して見ました。笑
マタンゴとかHOUSEとか、ここんとこ、ホラーと呼べないような作品ばかり見ていたので、本格的に怖い映画でビビッてしまいました(*ω*)
吹き替えでのエド・ウォーレン役を咲野俊介さんがやっていて、「クリミナルマインド」ファンの私にとっては「モーガンがいる!」と頼もしい気持ちになりました。
筋肉ムキムキなモーガンを思い出すと幽霊が怖くない笑
恐怖過多は逆によくない
特典映像の中で、特徴的なエピソードが語られていました。
脚本の読み合わせの時に、ワン監督が脚本を読んで一言
「恐怖シーンが多すぎる」
と言ったそうです。でも、ホラー映画だよ…?と返すと
「恐怖と恐怖の間に緊迫感を作るんだ」
と答えたと。ワン氏曰く
ホラー映画には怖い描写はそれほど必要ない。音を通じて見えないものを表現することがもっとも重要だ
ですって…!これは名言。
確かに、怖いものがバンバン映っているより、何か分からないモノに怯えてる人物に感情移入するほうが怖いです。
30代ですでにホラー映画のキモを心得ている監督。末恐ろしいです。
いっときホラー卒業宣言していたようですが、撤回して死霊館の続編も撮ってくれたのですからありがたや〜、です。(続編は未見ですが…)
恐怖描写は少なくていい、とはいえ大陸の悪霊はパワフル!
女の子をあちこち引きずり回したり、高いところから飛びかかってきたり。
最後はとてもハリウッド的
ネタバレすると、一家の母親に悪魔(になった、魔女狩りで自殺に追い込まれた女)が取り憑いてしまいます。
ジェットコースターみたいなスピード感で起きるポルターガイスト。
最終的には悪魔祓いの資格のないエドが悪魔祓いをするんですが、取り憑かれたお母ちゃんも、家族のために頑張ります。
母親の愛が悪魔を退けた…みたいな、家族愛がとてもハリウッド的。
悪魔祓いのキモは「取り憑いた悪魔が誰なのか特定して名を呼ぶこと」だと、映画「」で知りました。
確か「エクソシスト」で女の子に取り憑いてたのはバズズだったかな?
名前が呪になるっていうのは陰陽師にも共通しますね。夢枕貘で読みました。
千尋も名前をとられて湯屋で働かされますし笑
死霊館の悪魔は、魔女狩りで死んだバスシーバ・シャーマンが呪いをかけながら自殺したことで悪魔に格上げになったんでしょうか。
エドがバスシーバ!!!って叫ぶカットが入っています。
じゃあ人間が悪魔になって誰かに取り憑いても、すぐ名前ばれちゃうから不利なんだなぁ…。。
まあそれはいいとして、歳をとって家族愛に滅法弱くなってしまったので、なぜかラストでじんわり涙が出たのでした。
今夜のホラー考まとめ
「恐怖描写はホラーにはそんなにたくさん必要ない」ってめっちゃカッコいいです!
どこかで使おう(使う場所なし)。