「ドント・ブリーズ」サイコ座頭市のホーム・アローン
監督はフェデ・アルバレス。2016年。
製作にサム・ライミ氏が入ってます。この「製作」っていうのはどれくらいの関わり具合なのか素人の私にはよくわかりません…
アルバレス監督は自主制作の短編映画がサム・ライミ氏の目に留まって、2013年の『死霊のはらわた』リメイク作を監督しています(サム・ライミ氏製作)。
このリメイク版『死霊のはらわた』は未見なのですがゴア表現がどしどし出てくるようで。
今作ももしかしたらグログロなんかな…、と思っていたら、精神的な緊張感と恐怖が満載でした(o´▽`o)
オバケは、宗教観とかがあるから根本の部分で共感できないこともありますが、やっぱり「ヤバい奴」は万国共通で怖い。
殺伐とした時代になって、我々がオバケを怖がる余裕をなくしてきちゃったんでしょうか…
あらすじ
ティーンネイジャーのロッキー(ジェーン・レヴィ)は生活能力が全くない両親のもとから幼い妹を連れて逃げるための逃走資金を必要としていた。
そんな時、恋人のマニー(ダニエル・ゾヴァット)から、地下室に大金を隠しているとの噂される盲目の老人宅へ友人のアレックス(ディラン・ミネット)と3人で強盗に入る計画を持ちかけられる。
真夜中にそこへ忍び込み、孤独な盲目の老人(スティーヴン・ラング)から大金を手に入れるのはいとも簡単なはずだったが・・・。
そこにいたのは目は見えないが、どんな“音"も聞き逃さない超人的な聴覚を持つ老人・・・。
そして想像を絶する<異常者>だった。
寝室、キッチン、屋根裏、クローゼット、バスルーム・・・どこに逃げようが、ヤツは“音"を聞きつけものすごいスピードでやってくる。
家中の明かりを消され、逆にハンディキャップを与えられ、逃げ道を失った彼らだったが、なんとか老人に見つからず地下室までたどりつく。
そこで目にしたものはあまりにも衝撃的な光景。
ロッキーの悲鳴が鳴り響く・・・。
彼らはここから無傷で出られるのか・・・。
天誅!と思おうとする努力が実らない笑
盗っ人をはたらこうと家に忍び込む若者が悪いんですから、「これは大人の『ホーム・アローン』だ…」と、盲目の老人の方に感情移入すれば怖さも薄れるだろうと努力して最初見てました。笑
しかし緊張感のある描写と、盲目とはいえ元軍人で殺人に対する技術に長けている老人の圧倒的な戦闘力に、どうしても「よしよし老人頑張れ、天誅や!」と思えません。
サム・ライミ氏の作品は、ホラーといえどちょっとチャーミングな部分があってフッと緩む瞬間があると思うんですが、この作品はもうずっと怖い。
作品冒頭のシーンが、結末を読ませないようにする編集だったりして。展開も二転三転するので濃く感じました。
見終わってしばらくしてから思い返してみると、あの編集はちょっとあざといかなと思ったりしなくもない笑
ですが、見る側を振り回すためには、まず世界観に引き込んでいないといけない訳で。上手なんだなあと思いました。
無名の新人、てホントなの?くらい落ち着いてます
若い監督さんの映画って「俺こういうシーン撮りたいんや!」みたいな、ドヤ感があるけど映像の文脈として必要?みたいなカットがいっぱいな作品もありがちですが、この作品は分かりやすく落ち着いている印象。
盲目の人間の家に忍び込んだという設定上、説明をセリフで処理することもできないので映像の積み重ねで状況を分からせないといけないという制約も見事に緊張感として昇華してると思います。
ホラーの王道も
ネタバレすると、最終的には盗っ人チームの紅一点が頑張るんですが、かよわい女の子が1人で何とか頑張るというホラーの王道に向かっていく感じがとても心地よかったです。
犬に襲われて、逃げ場を失ってもうどうしよう!な『クジョー』のオマージュ的なシーンもあり、『クジョー』好きとしては心拍数上がりました。
サイコ野郎が飼ってる犬はもう犬じゃなくて猛獣だ!
ぜんっぜん関係ない余談
『ドント・ブリーズ』を見て、ヤバい奴とヤバい家、といえば『ミザリー』もすごく良かったなーと思い出しました。
こないだ録りためてたAstudioを見てたら、小日向文世さんが『ミザリー』を最初コメディだと思って見てたらサイコスリラーだった!というエピソードを話してて笑いました。
ロブ・ライナー監督がっくりだろうなぁ笑
今夜のホラー考まとめ
犯罪は、計画的に!☆