「フリークス」見世物小屋の人気者たちがイキイキ演じる良い映画
一応、ホラー映画として語られることもあるようなので…
実際に障害をもつ人たちが多数出演しているということと戦前の作品だということで、きっとキワモノ映画なんだろうと思っていたのが、いい意味で大きく裏切られました。
あらまし
サーカス一座で奇形を見せ物とするフリークスたちの復讐劇を描いたトッド・ブラウニング監督によるカルト・ムービー。公開当時、全米各地で議論を生んだ問題作。
引用元:Amazon CAPTCHA
サーカス団のメンバーが個性派ぞろい
小人症の男女、シャム双生児の姉妹、小頭症の子どもたち、上半身しかない男性(ハーフボーイ)、腕のない女性、四肢のない男性…
サーカス団のご婦人が映画の序盤、その彼らを森で遊ばせているのだけれど、見慣れない風景を見てファンタジーな世界に迷い込んだような気持ちになります。
お話は、美人だけれど金の亡者で性格の悪い女に、小人症の紳士が騙されて結婚し、毒殺されそうになるが最終的にはサーカス団のみんながその女に逆襲する…というような、単純明解なものです。
が、物語を通して、サーカス団員たちにも日常があり、恋があり、人生があることを見せられる。それは健常者も障害者も同じです。
あの人が怒られたことについてずっと考えていた
NHKで放送されたドキュメンタリー「終わらない人 宮崎駿」を見ました。
その中で、ドワンゴの川上氏がとあるプレゼンテーションをして宮崎駿氏に「きわめて不愉快」と怒られるシーンがありました。
人工知能を使って3Dキャラクターを動かすと「気持ち悪い」動きをする、という主旨のプレゼンでした。それに対し宮崎氏は「生命に対する冒瀆」「人の痛みをしらない」と言ったのでした。
ふむふむなるほどそうだな、と宮崎氏の意見を聞いていたんですが、でもプレゼンでみた生物の動きは確かに気持ち悪いと思ったのです。
なぜあの動き、あの生物はモンスターのように見えてしまうんだろうとずっとモヤモヤ考えていました。
で、それがこの映画を見て何となく答えが出たのでした。
それは「その人を知ってるかどうか」なんだなーと。
未知のものに対して、人は警戒したり恐怖したりするように出来ている。
この映画、冒頭はやはりサーカス団の面々の姿を見てちょっとビックリしてしまいます。
急にハーフボーイが手でペタペタペターッと歩いてきたり、四肢のない黒人の男性がモゾモゾと動いていたり。
でも、64分後には小頭症の子たちがとても可愛くなるし、小人症のハンスが悪い女に騙されてかわいそうで応援したくなるし、ハーフボーイはいつも身ぎれいでカッコいいし、腕のない女性は品良く足を使って食事してて良い女感を尊敬するし…と、見方がゴロッと変わります。
これはなかなかない体験でした。
知らないものに対しては、気持ち悪いとか怖いとか言ってしまえます。
そういう事だったのかなと、自分の中で腑に落ちたのでした(ズレてる気もする)。
新しい技術を何かに活かそうとする試みは貴重だし、やめてはいけないと思います。
「フリークス」、見てない人生と見た人生だったら圧倒的に後者の方が良いよ!というくらいおすすめしたい映画になりました。
今夜のホラー考まとめ
あ!映画、ちゃんと最後の方はちょっと怖いですよ!
(ホラーの観点から考えて見てなかった(´-`;))