「祝山」肝試し系怖い話で久々にゾワゾワ
イラストは「祝山」とは関係ないです(*ω*)
ホラー小説のおすすめ!みたいな記事やなんかでけっこう出てくる、加門七海さんの「祝山」が怖いということで読んでみました。
氏の著作を読むの自体初めて。読みやすい文章でぐいぐい読めました。
あらすじ
ホラー作家・鹿角南のもとに、旧友からメールが届く。ある廃墟で「肝試し」をしてから、奇妙な事が続いているというのだ。ネタが拾えれば、と軽い思いで肝試しのメンバーに会った鹿角。それが彼女自身をも巻き込む戦慄の日々の始まりだった。一人は突然の死を迎え、他の者も狂気へと駆り立てられてゆく―。著者の実体験を下敷きにした究極のリアルホラー。
引用元:Amazon CAPTCHA
肝試しの怖い話って本当は感情移入できないけど
でもこの「祝山」は、主人公が肝試しに行っておらず、そもそも肝試しに対して批判的。
「肝試しに行く若者ってバカだし怖い目に遭ったってどうでもいい」なんていう読者の気持ちも代弁してくれます。
が、その肝試しに行ったバカ者たちが襲われている恐怖現象にズルズルと巻き込まれていきます。
その「怖いこと」も特に派手なことはない(ぼんやりした心霊写真とかそのくらい)のに、けっこうゾーッときます。
山岳信仰にワクワク
ただ廃墟に行った人たちが怖い目に遭うだけじゃなくて、その背景にある、土地の歴史や土地の神様といったことにまで話が及ぶのはワクワクしてきます。
諸星大二郎さんや星野之宣さんの漫画好きならこの展開はお気に召すでしょう。
ネットにある怖い話でも土着信仰にまつわる話がありますが、
「おじいさんに何故そんな所へ行ったか怒られる」
→「寺へ連れていかれる」
→「一昼夜お祓いを受ける」
→「それをしなかった同行の友人は行方不明になる(または精神をやられる)」
みたいなのがテンプレートになっててだんだん食傷気味になってきます。
せっかく怖かったのに〜、って (*ω*)
しかし「祝山」は痒い所にも手が届くというか、リアリティをもって楽しめる展開になってました。
主人公にも油断ならない
物語が進行していく中で、主人公はこの人には心を許したのかなという登場人物に対しても、心の中で口汚く罵ったりします。
霊感を持っていることについてもチョイチョイ持論を展開する主人公。
それまで主人公の気持ちに寄り添うように読んでたのに「ん?…なんだっ!?気難しい人じゃんこの人!」と殴られたような気分になり油断ならない。
いや、それだけ主人公も緊張していっぱいいっぱいになっているってことなのか…
読んでいて、読者の味方はこの小説のなかに誰も居ない…みたいな気持ちになったりして、それもうすら怖い。
加門七海さん自身の体験をベースにした物語、ということなんだそうですが、文章力があるのでエンタメとして面白い小説でした。
なんせラストシーンは映像が頭の中で鮮明にイメージできちゃって結構ぶるぶるなりました。
今夜のホラー考まとめ
洒落怖もいいけど、ちゃんと練られた文章はしっかりエンタメホラーしてました