「スキャナーズ」「デッドゾーン」勝手にクローネンバーグ入門
デヴィッド・クローネンバーグ監督の作品で初めて見たのは「裸のランチ」でした。
「ザ・フライ」も見たことあったけど、クローネンバーグ氏だとは思っておらず…。
「裸のランチ」でとにかく訳の分からん人だ!と打ちのめされてしまい、しかしながら奇妙なクリーチャーの造形が頭にこびりついたのでした。
で、クローネンバーグ作品の中でもお話がしっかりしてる2本を続けて見ることにしました。
「スキャナーズ」
1981年公開。クローネンバーグ氏をメジャー監督に押し上げたヒット作だそうで。
相手の心を読んだり、操ったり、果ては頭パッカーン!まで追いやることができる超能力者「スキャナー」の、ワルスキャナーとイイスキャナーの闘いという分かりやすい題材です。
でも何だかシーンの一つひとつが良い意味で気持ち悪くて緊迫していて、クローネンバーグ印だなあと思いました。
ワルスキャナーのレボックを演じたマイケル・アイアンサイドは「カナダのジャック・ニコルソン」と言われることもある演技派。
確かにちょっと狂気じみた表情が似てる…
このレボック、若い頃自分の能力をコントロールできないことに苦しみ、眉間に穴をブチ開けた、ヤバい奴。
そんな、ある種いっちゃってる人を見事に演じていました。
「デッドゾーン」
1983年。原作はスティーブン・キング。なのでこちらもお話ははっきりと筋道が通っています。そしてこちらも超能力モノ。
交通事故に遭い5年の昏睡状態から奇跡の復活を遂げた主人公は、ある特殊能力が身についたことに気づきます。
その特殊能力とは、人に触れると、その人の重要な過去や未来が見えるというもの。
その能力で、殺人事件の捜査に協力したり、人助けをしたり。
クローネンバーグ氏の映画の主人公って、何だかいつも本当にしんどそう。
ずーっと具合が悪そうだったり、ふさぎ込んでいたり。笑顔少ない。
足元がぐらつくというか、安心できる場所がない人間がいっぱい出て来る印象。
スリラー、ホラーにとって重要な要素なんだなってことがよく分かりました。
2本とも、そんなに長い尺の映画ではないのに、見終わったあとは「ふうーっ」と大きい息が出ます。
つまらなかった溜め息っていう訳では決してないんだけれど、映画見てる間じゅう胸のとこにずっと空気が滞留していた感じ。
(それを吐き出すのが溜め息って言うのか(´-`;))
しかし2本ともきっちり話にオチがつくので、気持ち良く眠れる映画でした。
ちなみに偏頭痛持ちなので、頭パッカーンのシーンは、あれはあれで気持ち良さそう…と思ってしまった(*ω*)
ひでぶ!
今夜のホラー考まとめ
主人公が笑わないとこっちの気持ちが不安定になる。ホラーの重要な要素ですね。(当たり前か…)