今夜もぼちぼちホラー考

今夜もぼちぼちホラー考

ホラージャンルの映画やドラマ、小説や怪談話など、「怖い」を自分なりに考えるブログです。ネタバレせずに書く自信ありません、ごめんなさい。落書きも劣悪でごめんなさい。

「クリーピー 偽りの隣人」香川照之の怪演、原作からの変更、私は映画版の方が好きです!

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2016年公開、130分。黒沢清監督。

昨年、映画公開の頃に文庫で原作を読んで、ようやく映画版を見ました!

 

あらすじ

犯罪心理学者の高倉(西島秀俊)は、刑事・野上(東出昌大)から6年前に起きた一家失踪事件の分析を頼まれる。しかし事件唯一の生き残りである長女・早紀(川口春奈)の記憶をたどるも、核心にはたどりつけずにいた。

一方、高倉が愛する妻・康子(竹内結子)と共に最近引っ越した新居の隣人は、どこか奇妙な家族だった。病弱な妻(最所美咲)と中学生の娘・澪(藤野涼子)をもつ主人・西野(香川照之)との何気ない会話に翻弄され、困惑する高倉夫妻。そしてある日、澪が告げた言葉に、高倉は驚愕する。
「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です。」
未解決の一家失踪事件と、隣人一家の不可解な関係。
2つの繋がりに高倉が気付いた時、康子の身に【深い闇】が迫っていた・・・。。 

引用:Amazon CAPTCHA

 

原作よりいい!

原作が好きな方には申し訳ないですが、あんまり私は原作の方が好みではなくって、映画版もあまり期待してなかったんです。

でも黒沢清監督だし…と見たら!

私が原作で「この要素いらんなぁ…」と思っていた部分がガッツリ削られており、スリラー映画としてめっちゃ良かったです(o´▽`o)

 

主人公の高倉は元刑事で、辞めて犯罪心理学大学講師になっているという設定になってますし、メディア露出があってちょっと有名…みたいなものも削られてます。

(原作ではもともとから大学教授)

ゼミ生と高倉の淡い不倫…的なものも全く出てきません。私もこれ全くいらんと思ってました(*ω*)

 

そして後半はゴッソリ別のものになっている!

野上の元嫁…とか、ニセ西野の過去…とか、ガッツリ削られておりました。

野上も東出くんが演じていて、高倉の刑事時代の後輩になってますし。

(原作は高校時代の同級生)

 

映像も不安感と閉塞感あります

ちょっと人物から離れて撮ったシーンが多くて不安感が煽られ高まった頃にズーンと緊張感たっぷりの表情のアップがきて…と、息が詰まって脳の酸素濃度下がります。

斜め上からカメラを傾けて撮ったり、画面の色も夏の設定なのに青みがかって寒々しかったり。

後半出てくる西野の家なんかは、普通の民家とは思えない暗さ。コンクリの壁と防音壁って!どやって作ったんや(*ω*)

 

説明しない怖さ

香川照之さん演じるニセ西野。

西野じゃない、というところまでは分かるが本当は何者か、どういう生き方をしてきたのか、何人殺しているのか全く明かされないモンスターとして描かれます。

 

原作ではこのニセ西野の生い立ちや性格や性癖みたいなものが割と詳細に明かされますし、なんか終盤はスリラーというよりはミステリ調になっていきます。

そこがこの小説の好き嫌いの分かれるところなのかなあと思ったりしてます。

ニセ西野のサイコパスっぷりが、詳細に記述されればされるほど「作家という一人の人間の想像力の限界」が見えるというか。

例えば、実際に起こった事件「北九州監禁殺人事件」のルポを読んだりすると、本当の悪魔のようなサイコパスがやること考えることっていうのは、普通の人間とは全く違うんだと、詳細に書かれるほど思います。

 

そういう意味では、映画版のニセ西野は闇の部分、敢えて描かれない部分があることでモンスター感が増していて、ホラーとしてめっちゃ怖い。

なぜ一家の娘だけは生かすのか、とか、理由が本当は欲しいけど、放りっぱなしにされて不安いっぱいになります。

原作のようにちゃんと説明してもらえると安心するけど、安心しちゃえるとそれはそれで寂しい。

 

なんせ香川照之さんが怖すぎて!

竹内結子さんの演技もスゲえな〜って思ったんですが、なんせもう香川さんが凄すぎて。

 

『ニューヨーク・タイムス』のマノーラ・ダーギスは香川照之を「第89回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされるべき5人」に選出した

引用: クリーピー (小説) - Wikipedia

 というくらい、演技力が突出してました。

下くちびるが弛緩した、何考えてるか分からない表情…!

猫背で嫌悪感の出るような物の食べ方…!

腕を前に垂らすだらしない歩き方…!

電柱に貼ってあるどうでもいいようなチラシを剥がして持ち帰る意味不明さ…!

 

西川美和子監督の「ゆれる」で、気弱で人の良いお兄ちゃん役をやっていた香川さん…

99.9で頭の切れるちょっとダーティな敏腕弁護士をやってた香川さん…

去年Eテレでカマキリのコスプレをしてバッタ愛を語っていた香川さん…

おとなの自動車保険を優しくオススメする香川さん…

もうこの人まじで多重人格なんじゃないかってくらいの変幻自在っぷりで頭の中ぐちゃぐちゃになりました。

 

今夜のホラー考まとめ

香川さんの顔がしばらく怖くて見れなくなります!ヘルシア緑茶愛飲者はご注意を!

 

同じ殺人鬼、サイコパスものとしては園子温監督の「冷たい熱帯魚」を思い起こしますが、あっちは「クリーピー」と比べちゃうとポップで明るい!と思えるほど。

さすが黒沢清監督。ずーっと陰湿でしんどい(良い意味で)。

「マタンゴ」円谷の本気がほとばしるキノコホラー

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1963年公開、89分。監督は本編が本多猪四郎氏、特技監督は円谷英二氏です。

本多猪四郎氏は「ゴジラ」「モスラ」の大監督。

こんな最強監督のコンビが撮ったキノコホラー。

私は初めて見たのが10年ほど前で、その時はこの映画を勧めてくれた人が「日本が作ったアホアホキノコホラー」みたいに紹介してくれたのでそんな気分で見ていたんですが。

もう一度見てみたら結構本気で面白かったです。

 

あらすじ

ボンボンのグループがいい気になってクルージングしていたら嵐に見舞われて漂流!

流れ着いた無人島は鳥も寄り付かない不毛の島だった。

島の反対側に流れ着いていた難破船を調べるとすごいカビが生えていて…

核実験の影響で生まれた怪キノコ「マタンゴ」?!

食べたら最後、気持ちよ~くなってキノコ人間になっちゃうよ!

 

…みたいなお話です。

 

新技術をしっかり取り入れて!

船上のシーンは合成なんですが、今見てもなかなか上手くできていて、なるほど当時新しかったオプチカルプリンターをこの映画の為に数千万で購入したそうで。

 

島の奥で、雨の湿気を吸ってムクムク育つキノコたち。

これも、当時開発されたての発泡ウレタンが使われてるそうです。

何かの逆回しなのかしら?とか、空気で膨らましているの?とか思って見ていましたが、こんなところにも新技術。

おかげで不思議と目に焼きつくシーンになってます。

 

セット、美術も豪華だー

船が無人島に行き着き、島の反対側で難破船を見つけるんですが、そのカビだらけになっている船内のセットもすごく作り込まれています。

見てるだけで鼻がムズムズしてくる(*ω*)

カビ、胞子ってどこにでも入り込んで気がついたらモケモケしてたり黒ずんだり、本当に怖い。

 

そこで見つけるでっかいエリンギのようなキノコ「マタンゴ」!

ネーミングセンスも秀逸です。

ドラクエで名前を知ってる人も多いはず。

 

魂の解放か、人間性の放棄か

マタンゴを口にすると、神経をやられ、胞子が体に回ってキノコ人間になってついには自分を失ってしまいます。

しかし不毛の島ではやせた芋か、幸運でもウミガメの卵くらいしか手に入らない。

 

「このキノコ食べてると、いつかキノコになるのよ」

「あいつら半分キノコだ!」

と、台詞だけ見るとアホアホ映画ともとれるんですが、テーマは深い。

 

極限状態に追い込まれた人間たちの、食欲と性欲(と理性のたたかい)、武装・非武装による権力のゆらぎ。

ゾンビ映画とも通じる、ホラーとかスリラー映画の醍醐味もしっかり入れ込んであります。

ゾンビ映画と違うのは「キノコ食べること(アッチ側いっちゃうこと)がそんな悪いことなのか?」と思えること。

自我っていう捉われから解放されて幸福のうちに自然と一体になる…って、あれ?これもしかして現世に出現したニルヴァーナなんちゃう?とも思えてくるのです。

 

しめじって1970年代に出回ったんですね

映画の中にはしめじをモデルにしたようなキノコマンが出てきますが、しめじが人工栽培できるようになり家庭に出回るようになったのは1970年代だそうです(wikipediaより)。

野菜が高騰しても値段が変わらない、家庭の強い味方しめじちゃん。そんなに歴史浅いの?!ってビックリしました。

てかそこまで言及してる執筆者にもビックリしました。

 

ちなみに、キノコの味と香りってとても複雑で、脳の味覚を認識するエリアのシナプスを作るのに手間がかかるので、キノコを美味いと思うのには時間がかかるそうです。

子どもがキノコ嫌いな子がいるのも仕方ない、らしい。

宗教人類学者の植島啓司先生が仰ってました。

(ので、本当か分からない笑)

 

今夜のホラー考まとめ

マタンゴ食べる?食べない?で性格診断できそう笑

私は割とすぐ食べてしまうタイプの人間だと思う。

「HOUSE」新たなトラウマ映画に認定です…ある意味怖いよう!

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のっけから間違い

バイオ7が話題なので、その原型のゲームの下敷きにもなったと言われる映画を見てやろうと鑑賞しました。…が!!!

完全に勘違い。バイオハザードの原型のゲームは「スウィートホーム」!ですね(´-`;)

映画も同名のもので、監督が黒沢清氏で、製作総指揮の伊丹十三と大人のケンカがあってDVD化していない作品でした。

 

今回見た大林宣彦監督の「HOUSE」は、まあ無関係だった訳なんですがコメディホラーでサイケな映像満載でトラウマ級でした。

お酒飲みながら見たんですが、悪酔いした…笑

1977年。88分です。

 

あらすじ

7人の少女たちが夏休みに訪れた屋敷は、若い女性を食べて若さを保つ化物が巣食う家だった…。大林宣彦監督のデビュー作となったファンタジー・ホラー。

引用:Amazon | HOUSE [DVD] | 映画

 

CMクリエイターだった大林氏の映画デビュー作ということで 

アイドル系の女の子がホラーに出る映画のハシリだそうで、コメディタッチな中にあっけらかんと恐怖表現、ゴア表現が出てくるもんだから油断ならない(*ω*)

 

食いしん坊の「マック」(ストマック)がまずおば様の犠牲になるんですが、生首になっちゃって、でもハツラツとした笑顔で井戸から出てくる…「ファンタ」ちゃんのお尻にガブリ!

そのあと、井戸の桶に見立てているんだろうけど口からザーッと赤い水が出る…キモい!!!

 

おば様、なぜか口の中から目玉がチラリ…

 

水が血に染まっている(が、みんな気づかない)。

 

お風呂に入っていたら背中に髪の毛がゾゾゾゾッと這い上がってくる…(が、気づかない)。

 

コマ送りとか逆再生の映像を使ったりとこちらの体力を削る映像の応酬。そんな中で、ある種チープな恐怖表現が出てくると妙に怖いのです。

 

ピアノに喰われる「メロディ」ちゃん。ほとばしる血しぶき!

最後には血塗れのピアノに指だけが踊っている…

なんかヤン・シュヴァンクマイエルっぽいなと思いました(*ω*)

CMを撮ってた大林氏が映画デビューしたという本作、持てる映像テクニックいっぱい詰め込みました!という感じです。なので、見ていて体力が削がれる…

紀里谷和明監督の「CASSHERN」を思い出しました。PV作ってた人が撮った映画、って感じに近い気がしました。

 

音楽もバッドトリップを誘います

やけに耳に残る音楽は小林亜星さんでした。ご本人も出演。若い時こんなパンパンだったんだなあ。

キャッチーな音楽なんですが映画音楽としてはガチャガチャしていて、映像もあいまって完全に脳みそ掻き回されました笑

 

しかし、チープとか言ったりしましたが、終盤では水ドバー!とか昔のバカ殿を彷彿とさせるような「お金かけてんね〜!」感もあって見ごたえ充分でした。

公開から30年越しにアメリカ公開されたという話も納得です。

 

今夜のホラー考まとめ

本格ホラーじゃない分、不意打ちの怖さがあります。振れ幅があるって重要ですね。

あと高熱で寝込んでる時に見る夢っぽくて体力削られるので元気な時の鑑賞が必要です(´-`;)

「出版禁止」繰り返し精読した小説はこれが初めて。自分なりの考察です

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こんなメモとって、、我ながらキモい笑

 

この本は「放送禁止」シリーズの長江俊和さんが手がけた小説。

「放送禁止」けっこう好きなのでこの小説も早く読みたかったんですが、1,800円するからなあ…と発売からこんなに間があいてしまった笑

でも1,800円分はしっかり楽しませてもらえました!

 (文庫が3月1日に出てる、今気づきました。。。くやしー!!本ブログ記事の引用ノンブルは単行本のものです)

 

普段なら雑に読んでストーリーだけ追うんですが、今回はメモをとりとり精読してみました。

 

あらすじ

社会の暗部を暴き続ける、カリスマ・ドキュメンタリー作家の「心中事件」。相手は、有名女優の妻ではなく、不倫中の女だった。そして、女だけが生き残る。本当は、誰かに殺されたのではないか?「心中」の一部始終を記録したビデオが存在する。不穏な噂があったが、女は一切の取材に応じなかった。7年が経った。ひとりのルポライターが彼女のインタビューに成功し、記事を書き上げる。月刊誌での掲載予告。タイトルは「カミュの刺客」。しかし、そのルポは封印された―。いったい、なぜ?伝説のカルト番組「放送禁止」創造者が書いた小説。

引用:Amazon CAPTCHA

 小説は、

長江俊和さんの序文

若橋呉成のルポ

長江さんの解説

という構成になっています。なので、一応の謎解きは解説部分でされます。

しかし細かいところは放ったまま終わっていくので読み手はそこの解明を託されるかっこうになります。

 

大まかな謎解き

小説のキモは「視覚の死角」と若橋が表記した部分が変換ミスであったこと。

「刺客の刺客」もしくは「刺客の資格」だった

(私は後者だと思うなあ)

 

政治結社の高橋にこれを言われたことで、自分が負うべき使命、つまり新藤七緒を殺害しなければならないことを自覚するんですよね。

「カミュの刺客」は、自分が誰に雇われたのか、何のためにその対象者を殺害するのか知らされないこともある

p.97

 ともあります。

 

でも、七緒のことを本気で愛してしまったので、殺してしまったのを境に心身耗弱になった。

(で、カニバリズムに走るってちょっとよく分かりませんが)

 若橋が七緒を殺した後の記述で、以下のようなちょっと長江さん的おふざけ要素も。

取材対象者と個人的な関係を持った場合、(中略)

あまり深く接しすぎると、目の前で起こっている事象の全体像が見えなくなり、大きく客観性を欠いてしまう恐れがあるのだ。

七緒と親密な関係を持った今も、その点は意識して注意しているつもりなのだが、時折不安になることもある。のめり込みすぎて、大事なことが見えなくなっているのかもしれない、と。

p.198

 なんつって!七緒の全体像見てみなよっ!首から下無いよっ!笑

 

で、ルポ内の自分の名前を若橋呉成、心中事件の生き残りの女を新藤七緒とします。

これがアナグラムになってて、

わかはしくれなり→我は刺客なり

しんどうななお→胴なし女

となって、事件の真相のヒントを暗示します(胴なし女には気づかなかった(´-`;))

 

あとは、七緒が若橋を呼ぶときの表記を「□□さん」とするのは「刺客刺客さん」の暗示…?

この辺の遊びが何とも長江さんらしい子どもっぽさ(*ω*)

でも七緒の本名を表記する時は××になってるので、□□はやっぱりわざとなんだろうな…

 

ゾワっときたのはタテ読みすると…の部分。

長江俊和さんおなじみのギミックなんですが、内容が内容なので「おぉ」となりました。

長江さん解説読むまで、全然気づかなかった笑

ちゃんとルポを読むと、途中から七緒が話してなかったり、襖や引き戸ばかりの家だったはずなのに途中から「ドアを開けて声をかける」のような記述があり、そういえばドアって冷蔵庫しかないやん…!とゾワゾワきました。

 

ところで、「しんじゅう」という読みって「臣従」とも書けて、主君に従うことって意味なので、「臣従」=カミュの刺客として任務を全うすること、とも取れるんじゃないか…?

取材を再開するにあたり取材のテーマを熊切事件の解明から心中の心情解明になったと書いているところから、「臣従の心情」=七緒を殺す自分の心情を記述するってことなんかな?と。

うーん、これはこじつけです!

 

ちゃんと分かってないこと

以下は未だに分からないこととそれに対する推察です。

 

  • 若橋に事件取材の依頼をした知人とは誰か

ルポの記録が始まる二年前に依頼を受けたようなのですが、二年前は若橋が大病から復帰した頃。

ただの知人、と割り切ってしまえばいいんですが、二年前の病気…ってどこかにつなげたい(*ω*)

ルポ内で出てくる「二年前」は他にもう一つあって、それが七緒の母の死亡時期です。

肺がんで亡くなったとあるので、おそらく病院で亡くなったものと思われます。ここに若橋も入院していたとしたら…

七緒と永津佐和子は遠縁にあたり、七緒の父が経営する工場の窮地を佐和子が救っていることから、七緒の母の病院にも見舞いに足を運んでる可能性あるなあと…。

 

だからって、永津佐和子が取材を依頼したとなると後々つなげるのがしんどくなるので可能性としては低い…のかな。

しかし、熊切が神湯の子どもだったということは熊切も佐和子も神湯シンパの一員だった可能性もあるなと思いまして。

七緒もインタビュー内で

二人は夫婦でありながら、どこか同士のような関係もありました

と二人を見ています。

 

まー考えすぎかなぁ(´-`;)

 

  • 七緒が二年越しで取材に応じたのはなぜ?

のちに見つかる七緒の手紙のなかで

私が深い恩義を感じているある方にまで、追及の手が及ぶかもひれないと危惧し、申し出を受けることにした

とあるんですが、これは七緒が自分で勝手に危惧して取材に応じたんでしょうか。

それとも、若橋がメールのなかで「いま永津さんにも話聞こうとしてます」的なことを書いたのでしょうか?

→p.14

まだ事件の取材を継続していることや、関係者に話を聞いたり、取材依頼を色々としているということもメールに記した。

 

書いてました(x_x;) すげー、冒頭ですでに伏線が。。

 

  • 政治結社にそんなすぐアポ取れるの?

途中、若橋は神湯のシンパが組織する政治結社へ行き取材をしますが、政治結社へどうやってコンタクトを取れたのか、場所をどうやって知ったのかの記述がありません。

やっぱり最初に若橋に事件を調べるよう言ってきた「知人」に教わったんでしょうか?

まあこの「知人」が神湯シンパであることは間違いないでしょうからねー。

 

  • p.210「二つもの大きな間違い」って何?

一つは「熊切心中事件が、神湯が仕組んだ謀殺ではないかと疑っていたこと」だとは思いますが、もう一つって何なんでしょうか…?

七緒と一夜を共にしたこと…?でいいのかしら。。

読解力が足りなくてココに引っかかりまくって混乱しました。

 

  • 永津佐和子の死の真相は?

若橋も自殺した半年後、佐和子は事故死します。

飲酒運転の事故死となってますが、殺された感じプンプンしますよね☆

何らかの形で若橋のルポが神湯武闘派の手に渡って「熊切の死は結局永津佐和子のせいやん!」となって粛清されたんでしょう。

 

今夜のホラー考まとめ

パズル的ミステリーにゴアなエッセンスで、よく出来た「長江的小説」でした!

「放送禁止」好きで未読の方は読んでほしいなあ。

数時間語り合えそうです。

 あと、昨年秋にも新刊が出たみたいなので読んでみたいです。

 

映画版「不安の種」お目々つり上げないで!オチョナンさん

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2013年。監督があの「放送禁止」シリーズの長江俊和さんということで見ました。

「放送禁止」は先日新作が放送されましたね!

シリーズ中最も分かりやすいつくりになっていたのとくりぃむの有田さんがストーリーテラーとして出てきてフィクション感を強調したことがファンの方々の戸惑いを誘ったようですが、私のレベル的にあれくらいで丁度良かった(o´▽`o)

お酒飲みながら夫婦で「え!今のってアレよね?」みたいに指摘し合いながら鑑賞。夫婦円満に「放送禁止」、おすすめです笑

 

あらすじ

何かが狂っている街“富沼市"。バイク便屋の巧(浅香航大)は、配達の途中にバイクで転んで塀の茂みにはまり抜け出せなくなったという誠二(須賀健太)から声をかけられる。助けようとした巧は、そこで恐ろしい怪異現象を目撃してしまう。その様子を遠くから見つめる怪しい少女・陽子(石橋杏奈)。誠二の脳裏には半年前、この街にやって来てから体験した数々の怪異現象の記憶が甦っていた。そして、彼の傍らにはいつも“怪異のモノ"が見えるという恋人、陽子の姿があった。一方、巧は新しいバイ
ト先のファミレスで自分にしか見えない客がいることに気付く。先輩社員の陽子に構うなと警告される彼だったが、無視できずにオーダーを取りに行ってしまい・・・。

引用元:Amazon CAPTCHA

 

「長江監督作品のどこが好きか」で変わる感想

私は長江俊和監督の、フェイクドキュメンタリーの妙な居心地の悪い空気だったり胡散臭い感じだったりの演出が大好きです。

そういう意味で「パラノーマルアクティビティ TOKYO Night」(パラノーマルの日本版続編として長江氏が監督)はそのフェイクドキュメンタリーとホラーが見事に合わさっていてすごく怖かったし面白かったんですが、今回の「不安の種」は物語をきちんと追うタイプの作品で、変な人や怪異が出てきても「そっかそっか、そういう変な町なんだもんね」と妙に入っていけませんでした。

とはいえ、変な画角や不安になるほど長い定点の映像、急に豹変する女の気持ち悪さなど長江俊和テイストは色濃くて、映像自体はけっこう好きでした( ´ ▽ ` )

 

あと、シリアスにしたいの?おちゃらけたいの?みたいなお茶目要素も長江監督のテイストだと思いますが半分男のあたりでそれが発揮されてたように思います。

ごっつのコント思い出しました。おもろ怖い。

 

Jホラー的には挑戦も

起承転結から足を踏み外すことのない近年のJホラーとしては珍しく、時系列をイジってみたり、途中からシナリオ分岐を作って平行世界モノにしてみたりと氏の挑戦も感じました。

 

あと、放送禁止的な謎解きが入ってるのか?と言うとそうではなさそうですが。。

(一家惨殺の時に斬られていた母親の腕も右手、手を返せと襲ってくるマネキン女も右手がなかったので、マネキン女=母親?くらいの考察しかできてません(´-`;))

 

原作マンガのどこが好きかによっても変わる感想

原作のマンガは場所も登場人物も年代もバラバラのショートショートなので、それを3人の男女に落とし込むっていうのが、原作マンガ好きの方からすると納得いかないものになるのかも知れません。

原作は「誰にでも降りかかりうる、日常に潜む恐怖」が醍醐味だったりするのに、映画では「登場人物3人が変な町で災難に遭う」に変換されていますし。

 

しかし、オチョナンさんが映像化されてるのを見るのだけでも価値があるかと思われます。

冒頭、カワイイとか言ったけど寝る前に思い出しちゃうと軽く眠れなくなるくらいの破壊力ありました。

目と口のレイアウトを変えるだけなのに…

停電の日の夜に現れるアイツも、原作より怖かった。口まわりの不衛生っぽい感じが実写の方がえげつなかった。

 

あと、細かいおすすめポイント

石橋杏奈ちゃんの部屋着姿がカワイイ。そして突然キレて罵声を浴びせてくる。全国数万のM男子は見て損はないかと笑

須賀健太くんがすごく成長していて驚く。バイク乗っていいの?とかキスシーンとかしていいの?とかいちいちハラハラする。

浅香航大くんのヒラキが見れる。生きが良くて這ってくる。俳優さんって色んなお仕事があるんだなあ。

 

そして余談。私のベストオブ不安の種

WEBに上がっていたので。階段の下からずっと見てくる。

これと同じような思いを実家でずっとしてました。人ってこういう想像してしまうんですねー。

osoroshiya.com

 

今夜のホラー考まとめ

押入れの中で動くオチョナンさんはけっこうハイレベルな怖さでした

「【閲覧注意】SCOOP!恐怖映像」の感想。かっこ笑いをつけてみたらちょうど良かった

年明けからMXで放送が始まっている(私の住む地方ではサンテレビで放送)、水曜夜の箸休め的番組「【閲覧注意】SCOOP!恐怖映像」。

シーズン1とぶち上げているところが勇ましい(´-`)

毎回、6〜7本の恐怖映像を紹介してくれます。

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はじめテレビ欄でこの番組タイトルを見つけた時は「民放でこんなんやってくれるの?!」と心踊ったものですが、実際見てみて内容の…何というか、、お粗末さに驚きました。

 

フィクションなので…

「フィクションです」と言ってるんでヤラセだなんだとツッコむのは全くのお門違いなんですが、怖がらせようとさえしてないので、見てるこちらが脳内で番組タイトルに

「〜恐怖映像(笑)」とか

「〜恐怖映像(なんてな)」

とかそういうのを付ければとても楽しめる番組です。

 

もう一歩踏み込んで、じゃあ自分が実際に「恐怖映像」を撮るならどうすればいいんだろう?と自分に問いかけるきっかけになります。

 

そもそもの設定をどうするか

なんでそんな所でカメラを回そうと思ったの?とか

監視カメラの映像って言うけど、なんでこんな画角で監視してるの?とか

変な萎えポイントを作っちゃわないようにするのがまず第一段階ですよね。

 

さらに、心霊スポットで撮りました、とかホームパーティで…とか陳腐な設定にしてしまうと、単に写り込んだだけではツマランと言われてしまうので設定は簡単なようで難しいです。

 

技術面でも

細かいとこだと、車載カメラの映像だって言ってるのに、手持ちで、何とか手ブレしないように…と緊張してるがちょーっとだけブレてる映像になってる。

ホルダーか三脚くらいあったろうに!と思ったり。

 

元の映像は荒い画質のものなのに、合成された幽霊はクッキリ鮮明な静止画だったり…

 

ツッコミ始めるとキリがありませんが、限られた予算、限られた人員、限られた機材、迫る納期…そういうのを考えると胃がキューってなります(´-`;)

アイデアだってなかなか湧かないし、ロケには時間がかかるし…

 

…とここまで考えて「頑張れー!とりあえず私は毎週見るよー!」と思ったのでした。

この番組を製作してるという「スマイラル・ピクチャーズ」っていうのが会社なのか団体なのか何か分からないんですが、とにかくキョービ珍しくググッても全然分からない笑

制作進行の岡崎喜之さんと監督の佐藤宇さんは、別の心霊系DVDのクレジットに名前がありましたが。

ホラーもの作ってるのにスマイラルて。

 

今夜のホラー考まとめ

これでシーズン2の放送がしれっと無くなっていたら、それが一番ホラー。頑張れスマイラル・ピクチャーズ!

「新耳袋 殴り込み!」の感想。おじさんが怖がったり盛り上がったり。

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今さら!見ました。今までこのシリーズいっこも見たことなくて、初体験です。

結果、笑って見られたしBGMとか作業用にちょうどいいDVDだなーと気に入りました!コメンタリーまで見たし。

(心霊スポットへ行く人のことは全然好きじゃないんですが。)

怪談 新耳袋に登場する心霊スポットに実際行ってみる企画の第1弾だけ、とりあえず見ました。

やっていることは田舎のヤンキーと変わらない…

 

関西編として

・狐火の城

・山の牧場

・幽霊マンション

 

福岡編として

・J洞窟

・死者の声が聞こえる公園

・塞がれたトンネル(I峠)

 

に行きます。伏せ字にしてはいるけれど、怪談好きならたいていの人が知っているであろう有名なスポット。

水曜スペシャルを模してるということは…

コメンタリーで「川口浩探検隊を意識した」的なことを語っていましたのでDVD冒頭のあのアオリ映像はまんま水曜スペシャルなんですね!

元祖やらせ番組として名高い番組のオマージュだったりするので、内容も真剣に見ると痛い目を見るということなんだなと理解しました。

(「水曜どうでしょう」も川口浩を模してるバラエティですので、水どうを見るノリで見るとちょうどよかったです)

 

しかし…

 

新耳袋が「実話怪談を集めました!」ということが売りだったりするんでしょうから、ノンフィクションでないと!マジの幽霊が見たいんだぜ!という方は満足いかない仕上がりなのかもしれません。

 

伏字にしてれば…いいのかな?

心霊スポットに7~8人のおじさんがぞろぞろ行って、怖がったり盛り上がったりしてるのは、バカだなぁ~って感じで滑稽で面白いんですが…

伏字にしていれば、周辺にモザイクをかけていれば、撮影してDVDにして売り出しちゃってもいいのかしら?っていう気持ちにはやっぱりなります。

大人になればなるほど、ただただ面白がるのは難しくなります…。かつて旅行系の雑誌編集をちょっとやっていた経験があり、竹田城は朝来市観光課や和田山の観光協会が何とか観光地として盛り上げようと頑張っていたのを見ているので、こういう取り上げられ方をするとやっぱりちょっと悲しい。

(現在は観光地として整備され人気になりましたね!観覧料もとるようになりましたし、入城時間も決まっています、ので日が落ちてからの入城はできません) 

 

それとか、幽霊マンションだって所有者がいるはずで、噂が立って入居者が減ったり、分譲だったら売るのに苦労したりするだろうに…とか。

(新耳袋のお話が本当だとすれば、ご家族も亡くなっているし本当にかわいそう)

大人になるとそういうことの方が怖くなるのがイヤですね~。もし自分がマンションのオーナーで、入居者が自殺とかしたら…建てるのにローン組んだりしてるのに…

 

とはいえ、山の牧場はちょっと気持ち悪かった

手入れが出来なくなったためか、不法侵入や不法投棄の温床になっていそうな雰囲気が気持ち悪かったです。

くずれた廃車が何台かあったり、使用済みの紙おむつの山など心霊とは関係ない、ヤバイ人と出会ってしまいそうな感じは見てるこっちも「うひょう~」となります。

私の実家もそこそこの田舎で、山の上には新興宗教の施設がデーンとあって、同じような雰囲気の場所があったなと思い出しました。 

 

これもしかし、中山市朗さんの怪談を聞きつつ想像をめぐらせている方が数倍怖い。

 

今夜のホラー考まとめ

百聞は一見に如かず。怪談に関しては百聞してる段階の方が結局ロマンがあったりしますね