「コワすぎ!」「オカルト」「殺人ワークショップ」胸を熱くするホラー
「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」のFILE1と2だけ見て止まっていた、白石晃士氏の作品鑑賞を(家族が心配する勢いで)ダダダーッとしました。
あと、白石氏の著作で自らの作品やフェイクドキュメンタリー作りとはなんぞやみたいなことを語ってる「フェイクドキュメンタリーの教科書」も読みました。この本、赤裸々でめちゃくちゃ面白かったです。
「オカルト」→「殺人ワークショップ」→「コワすぎ最終章」の流れはアツすぎる!
とりあえず私はコワすぎを見てしまおうと、FILE3、4、劇場版序章、劇場版、最終章と見たのですが
最終章に出てきた謎のおじさん「江野」のことをもっと知りたいって思ってしまったが運の尽き笑
これで白石作品にどっぷりハマることになってしまいました(o´罒`o)
江野くんを軸に考えると、順番的には「オカルト」「殺人ワークショップ」「コワすぎ 最終章」となるようですが、私は逆から見てしまった笑
それでも充分胸が熱くなりました。
ホラーで胸が熱くなるって、すごい!
オカルト(2009年)
まさに江野ライジングって感じの作品。
2005年、ある観光地で起きた無差別殺人。犯行直後に犯人が海に飛び降り自殺。白石晃士は事件の被害者である青年・江野祥平に出会い、奇妙な証言を聞き出すが…。「口裂け女」の白石晃士監督が放つ、フェイクメンタリーホラー。
派遣バイトで日銭を稼ぎ生活する江野くんのキャラは監督自身が重なっているそうです。
ネカフェ難民とか派遣バイトの劣悪な労働環境とか、当時の世相も反映した作品でもあります。
最後は自爆テロに話がつながっていくこの作品、信仰とテロ、みたいなところで監督は地下鉄サリン事件をモチーフにしたそうですが、撮影直前に秋葉原の連続通り魔事件があったり(脚本は既に出来ていた)と、ぶっ飛んだ内容ながらリアリティもけっこうあります。
この映画の中でかなり心にグサグサくるシーンとして、江野くんが100均でスナック菓子やカップ麺の重さを確認するところがあります。
あれは宇野祥平氏のアドリブだそうです。
あと、お金を受け取るときにお札の向きを揃えるところも。
脚本を読んでしっかり役が入っている役者さんなんだなあと。
ほんとにウダツの上がらないフリーターにしか見えませんもん。
時間を置いてまた何回か見たくなる映画でした。
殺人ワークショップ (2014年)
同棲する恋人から日常的に暴力を振るわれているアキコの元へ、奇妙なメールが届く。そこには「殺したい人はいませんか? 殺し方、教えます」と書かれていた。アキコはそのワークショップへと応募する。だがそれは、江野と名乗る謎めいた講師の指導のもと、参加メンバーが協力してターゲットを本当に殺していく“殺人実践型ワークショップ”だった…。
ENBUゼミナールという専門学校の映像俳優コースで白石氏が講師を務めた際に作られた映像作品の再編集。
「オカルト」の結末で異世界に行ってしまった江野くんが、異世界で力を身につけ降臨したと感じられる世界観。
殺人をすることで魂を解放する…!という、倫理的にアカンことなのではあるのだけど、作品として最後はなんだかすごくスッキリしてしまうのでした。
終盤の廃墟のシーンは、初めは山の中で撮影する予定だったのが、撮影日に雨が降ることが分かって急遽変更になったのだそう。山より雰囲気あっていいです。
コワすぎ! 最終章
最終章は脚本作りに難航して、音づくりや合成、編集に対して白石氏は納得がいってないらしい。
前作の劇場版で世界を救い損なった工藤と市川を助ける為に、カメラマン田代が奮闘します。
パラレルワールドに出現する力を得た江野くんが登場。
終盤で田代のことを「白石くん」と呼び間違えたり、敬語はよそよそしいやんか、と言ってみたり。
「オカルト」で二人で青春を(文字通り)爆発させた白石くんと江野くん。
江野くんは白石くんを救いたいっていう強い思いがあったようです。
まどマギが頭の片隅にあった的なことを白石監督も言っています。
確かに、まどかに対するほむらちゃんの切ない思いに似ているー!
この映画はおっさん二人ですけどね笑
「フェイクドキュメンタリーの教科書」はファン必読!くらい面白かった
予算が少ないとか赤裸々に語りまくっている1冊。
アカデミー賞作品の「バードマン」をクサしてたりもしてます(o´罒`o)
しかし作品に対する熱い思いもビシビシ。
フェイクドキュメンタリーにおいてカメラワークは肝。「画的にいいから撮っておこうよ」と共同監督に言われたが、カメラがいつそこに移動して撮ったかに説得力が持たせられないのでカットした、というエピソード。
「観ている人は気づかないんじゃないか」と共同監督は言ったが、白石氏はそういう所も気を遣うべきだと述べてます。
「客は分からない」「素人は気づかない」って、どの分野においてもプロが陥りがちな罠ですよねー。
そこでいかに手を抜かないか、お客さんとか作品に対して誠実であるかってすごく大事だよなあと感動しました。
具体的に気づかなくても、何となく不誠実な感じって伝わるもんですし。
あと、「映画でいう『気配』はほぼイコール『音』です、と言ってて、同じことをジェイムズ・ワン監督も「死霊館」のメイキングで語ってたので、なるほどやっぱり名監督は同じ感覚を持ってるのねーと思いました。
見る側も、耳をすませて静かな環境で鑑賞するとよりホラーが楽しめるってことですね(当たり前か(´-`;))。
ちなみにテレビの放送事故へのクレームって、画像が乱れたときより音が消えちゃった時の方が圧倒的に件数が多いそうです。
人間は音の情報が不自然な方が気持ち悪いと感じるって事だそうで。
ソースは私の旦那。嘘かもしれません笑
今夜のホラー考まとめ
ちゃんと怖いところは怖くて、最後は胸が熱くなる。白石作品にヤラレました!
ちなみに…
江野くんが行ってる派遣バイトの同僚が車に轢かれるシーンは合成だそうなのですが、、
もとはアクションをやってたという韓国人と監督があのシーンについて話したところ「韓国ならあのシーンは本当に轢かれますよ」とびっくりされたのだそう。
えー!マジで轢くってかー。怖い。