「神の左手悪魔の右手」楳図感がよく出てます
2006年公開、95分。監督は金子修介氏。
原作は楳図かずお先生の同名漫画で、その中の「黒い絵本」というエピソードです。
あらすじ
人間の悪意を夢で予知する不思議な力を持つ少年ソウ。ある日、ソウの夢に現れた一人の男。彼は寝たきりの娘に自作の絵本を読み聞かせているが、その絵本には少女たちの惨殺された姿が描かれていた。やがて悪夢は現実となり、ソウの身体にも異変がおきる。ソウの姉イズミは弟を救うため、夢に出てきた男を捜しに行くが…。原作楳図かずお、主演渋谷飛鳥で贈る衝撃のスプラッター・ホラー。
引用元:Amazon CAPTCHA
ダークファンタジーでもあるんですが、敵はシリアルキラーなのでサイコスリラーでもあります。
監督はロマンポルノご出身
金子修介氏は日活ロマンポルノ出身の監督だそうで。
なのでカワイイ女の子がちょっとエロく殺されていく、みたいなことにも注力したようです。
でも、パンツまでは見えちゃいけない…!など、品は失わないように。ロマンポルノクオリティですね。
キャッキャしてる女の子が首チョンパされるのは、なんだかスカッと爽快に感じます。ダメだけど!
楳図作品も、女の子はみんなとっても可愛い。
可愛かったりキレイだったりするものが恐ろしい目に遭ってグチャグチャになるのって「怖い」プラス「妖しい」も入りますし、ロマンポルノ感もあるので味の共通点があります。
特殊造形は藤原カクセイ氏
ホラー映画のキモとも言える特殊造形は、この作品の10年後「アイアムアヒーロー」で見事なゾンビの造形を手がける藤原カクセイさん。
やりたいってご自身で監督に申し出たそうです。
10年前ですし、楳図テイストを踏襲する意味でも、なんか「作り物感」がひしひしとあります。
しかし、なんだかそれが愛おしく感じるというか。
バタリアンの特殊造形にも感じた温かみがあります。
首チョンパされた女の子の目がぱちくりするとか所なんかはいかにも楳図先生。
DVDの特典映像には若き日の藤原カクセイさんが特撮シーンを作っている映像が入っています。
斬られた首から血がピュピューッと出なければいけないところが、血を人形に送り込むポンプとチューブが外れて血が漏れ出してしまって「おととと…」となってる藤原さん。
そうやって失敗もありつつ一個一個シーンを作っていくんだなあと感慨深いです。
田口さんが怖くって
あと、何よりすごいのが田口トモロヲさんの演技。
「プロジェクトX」や「ドクターX」のナレーションでおなじみのおじさんが、こんなに怖いとは。
普段は気の弱いコンビニ店員のおっちゃんなのに、その正体はシリアルキラー(しかも女の子ばっかり狙う)という怪物を見事に演じていました。
恐ろしい笑い方とか、やり過ぎなんじゃないかと思うくらい派手なんですが、いや、でもイッちゃってる人ってこんな感じだわ確かにと思い直したり。
大義があって行動しているので、自分の行いに何の疑問もない。
そういう人の目は怖いです。らんらんとしているのに、奥がまっくろ、という感じ。
バーンと家具の隙間から顔を出して叫ぶシーンは、監督も特典映像の中で「ヒッチコックやキューブリックといった映画の知恵を詰め込みました」的なことを言っていたので、なるほど確かにまんま「シャイニング」です。
日本のおじさんなので、日本人的にはもしかしたらジャックニコルソンより怖いかもしれない。
歯が黄色いのとかも怖い。怪物っぽい。
最期もなかなか良い死に方をします。
タイトル誕生秘話
「神の左手悪魔の右手」というネーミングは本当にカッコいいと思います。一度聞いたらもう絶対忘れないし。
で、なぜ左手が神で右手が悪魔なのか?
特典映像で楳図先生自身が答えてました。
「語呂の良さ」だそうです。
でも、インドでは左手は「不浄の手」と言って左で料理を食べないから、それはなぜなんだろうと思ってインド料理屋で一応聞いてみたそうです。
昔のインドは衛生状態が悪くトイレに行くときは左手で拭いていて、不衛生だったから…という理由を聞いて、「なんだ、そんな理由なんだったら別に神が左手でいっか」と思ったんですって。
柔軟だなあ(´-`;)
今夜のホラー考まとめ
イッちゃってる人の目はみんな同じで怖いです