今夜もぼちぼちホラー考

今夜もぼちぼちホラー考

ホラージャンルの映画やドラマ、小説や怪談話など、「怖い」を自分なりに考えるブログです。ネタバレせずに書く自信ありません、ごめんなさい。落書きも劣悪でごめんなさい。

「残穢」原作を読んだ人も、見てほしい!じんわり怖いホラーミステリー

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 人は怖い想像し始めるとそこからなかなか逃れられませんよね。

 

今年の始めに公開された、同名小説の映画化です。

中村義洋監督といえば「呪いのビデオ」シリーズで「おわかりいただけただろうか」「~~、とでも、言うのだろうか」のナレーションでもおなじみの方。

私の中では原作小説の味をあまり損なうことなく映画化できる稀有な才能を持っている監督さんだと思います。

あらすじ

誰が、なぜ、事件を引き起こしたのか。
聞いてしまった奇妙な「音」は、連鎖する不可思議な事件への招待状だった――。
小説家である「私」(竹内結子)のもとに、女子大生の久保さん(橋本愛)という読者から、1通の手紙が届く。
「今住んでいる部屋で、奇妙な“音"がするんです」
好奇心を抑えられず、調査を開始する「私」と久保さん。すると、そのマンションの過去の住人たちが、引っ越し先で、
自殺や心中、殺人など、数々の事件を引き起こしていた事実が浮かび上がる。彼らはなぜ、“音"のするその「部屋」ではなく、
別々の「場所」で、不幸な末路をたどったのか。
「私」と久保さんは、作家の平岡芳明(佐々木蔵之介)、心霊マニアの青年・三澤徹夫(坂口健太郎)、そして「私」の夫・
直人(滝藤賢一)らの協力を得て、ついに数十年の時を経た、壮大なる戦慄の真相に辿り着く。だがそれは、
新たなる事件の序章に過ぎなかった―。
すべての事件をつなぐ【穢れ】の正体とは?
予定調和を許さない驚愕のラストまで、目が離せない。

引用元:Amazon CAPTCHA

 原作に忠実に作るのが本当に上手!

中村監督の作品は「白ゆき姫殺人事件」「ゴールデンスランバー」「アヒルと鴨」「予告犯」など原作があるものばかりを見てきました。

そしてどれも、原作を読んでいて、原作が好きで映画を見たのです。

このパターン、好きゆえに普通だとキャストやストーリー、画づくりなど色々納得いかない部分が出てきて「あぁ…見なければ良かった…」と思ってしまいがち。

しかし中村監督は本当に原作の味をおさえてると思います。

アヒルと鴨…のドルジはこの人じゃないなぁ…とか思ったりもするんですが、我慢ならん!とはなりませんでした。

多分、映画としてとても良くできていたからなんだと思います。

中村監督の映画からは「これぞ中村監督!」みたいな個性というかクセをあまり感じないのです。

そのクセのなさが「見る人にきちんと伝える」「原作の面白さを映画でも味わわせる」といった気持ちを感じてこちらも何だか優しい気持ちになります(ホラーなのに)。

 

淡々としてる話なのに

主人公が小説家で、過去の事件をたどる設定なのでインタビューが多く、どんどん過去を掘っていくから登場人物もポコポコ増えていく。
淡々としたシーンが重なっていくのに興味が途切れないのは不思議と緊迫した雰囲気があるからでしょうか。
固定カメラでインタビューされる人物を撮るあたり「放送禁止」シリーズにも似た感じがあります(あれも大好き)。
人物の後ろに置いてある物に何かヒントがあるんじゃ…?とか恐ろしいものが映り込んでいるんじゃ…とか思わされたりします。
DVDの売り文句には「本格ホラー」ではなく「本格ミステリー」と書いていました。確かにそうだなぁ。
 

とはいえ、Jホラーのエンタメ性も

小説の方はリアル志向な感じなので、話のラストも「えっ、ここで終わっちゃうのね…!」と尻切れトンボな印象もありました。

(それがかえって、フェイクドキュメンタリーとは知りながらも、穢れが本当に存在して読者にまで迫ってくるような感覚にさせられるのですが)
 
映画版のこちらの方は、クライマックスへ向かってそこそこ怖がらせてくれる感じはあります。
そこで好みが分かれるというか、原作が本当に好きな人でココにこだわりがあったんや!という人だと残念に感じるかも…ですが
イチ娯楽映画としてはこういうビビリポイントがあるのは私は嬉しかったです。
 

大人になったからか?逆に怖い

いわゆる事故物件モノのホラーな訳ですが、若い頃なら「オバケが出て怖い」の単純構造で怖がっていたけど、

自分が自殺してしまったり、それでなくても悲しい死に方になっちゃって後世の方々に死んでなおご迷惑かける存在になっちゃうというのが怖かったです。

伽倻子や貞子みたいなJホラーモンスターは、敵キャラとして、生きてるこちら側は善(被害者)として描かれる訳です。

貞子は呪いから逃れる為には呪いを拡散させなければいけないというのもありますが、でもやっぱりこちらは被害者な感じ。

残穢の霊たちは「誰かを道連れにしたい」という気持ちは霊にはなさそうに見えました。

穢れ自体が、生きる者を道連れにするというか。

Tウイルスのようですね。でもゾンビもののポップさがなく、陰湿でしかも空気感染します。

そのジメジメしたやり口がいかにも日本ぽい。

 

今夜のホラー考まとめ

大家さんのこと考えて、穢れにならないようにしよう!
あと、中村監督の映画、やっぱり見やすくて好きだ!