「永遠に美しく…」30代になって再鑑賞したらおもろ怖かった
1992年公開。監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキス氏。
初めて見たのは小学生の頃だったでしょうか。いま確認するとレーティングは15+になってるんですが当時はユルかったからなあ。
あらすじ
若く美しいまま永遠に生き続けたい! ヒット・メーカー、ロバート・ゼメキス監督によるSFX満載の超娯楽作!アカデミー賞 & 女優、メリル・ストリープとゴールディ・ホーン が、どん欲で虚栄心の強い、セクシーでふしだらな熟女を熱演。この2人の女たちの間で翻弄される中年男アーネスト役にブルース・ウィリス。イザベラ・ロッ セリーニ演じる魅惑的な謎の美女がマデリーン(メリル・ストリープ)とヘレン(ゴールディ・ホーン)に差し出した液体は、なんと若く美しいまま永遠に生き 続けられるという念願の秘薬だった! 最先端の特撮技術を駆使した究極のブラック・コメディ決定版!
説明には「最先端の特撮技術を…」と書いてますが、当時の最先端。
メリル・ストリープの演技力、やっぱすごい
ゴールディ・ホーン、メリル・ストリープという大女優がキレイになったり汚くなったり、そのへんとっても楽しい映画。
特にメリル・ストリープは本当に演技が上手だなと思います。
美しくセクシーでゴージャスなんだけど、育ちの悪さがどうしても消せない(本人もコンプレックスに思っている)マデリーン。
その育ちの悪さをセリフで説明するだけでなく動きの端々でちゃんと見せているのは舞台出身のメリル・ストリープのなせる業なのかな。
目の下のメイクが落ちてる…のをぬぐう時に、口が「のーん」と鯉みたいに台形に開くとか、
髪の乱れを直す手の動き、顔のゆすり方…
いちいち、ちゃんと育ちが悪く見える。すごい!
30代になるとリアルになってくる「美への探求」が怖い
ブラック・コメディですが、30代になった自分にとってはそのブラックな部分が自分にも言われているような気分になってきて、カラッと笑えない。。
10代20代の頃はメイクやファッションって、自分を表現するものであり楽しむものであり、「ゼロの自分にプラスしていく」という感覚でした。
が。30を越えてくると「ブス」「キレイ」とは別の軸で「汚い」という指標が見過ごせない問題として迫ってきます。野ヅラでいることはマイナスからのスタートになってしまうのです。
野ヅラで近所を歩くわけにはいかない。いや、誰も私のことなんて見てないのは知っているけど、汚いまんまで外に出るのは申し訳ない。
美しくありたいとまでは言わないけれど、汚くなりたくない。
一種の強迫観念みたいになってくるのが映画を通してけっこうリアルに、心にヒリヒリくるからやっぱりゼメキス監督は本質を突いてるなー、と思いました。
まして男性である監督がこのへんの女の欲望をデフォルメして笑っているのが本当に怖い。
秘薬があったら私も飲むもん
マッドサイエンティストって怖いですが、ある種オンナってそういう面を持っていると思います。
実際、美容に詳しい友人と話していると
「プラセンタは飲むだけじゃ意味がない、筋肉注射しないと」とか
「普通は1回に1アンプルしか打ってくれないけど、あそこのクリニックは2アンプル打ってくれる」とか
そんな話がポンポン出てくるんです。
豚由来のプラセンタよりヒト由来のヤツの方がやっぱ効くよねー、とか。
今年あたりからは「飲む日焼け止め」なんて流行りましたし。
整形を繰り返す女性も世の中にはいます。
整形の技術もどんどん良くなっているようだし、きっと、いつか秘薬が市販されても不思議ではないです。し、おそらく飲む女性いっぱいいると思います。
私も飲みたい。石仮面もあったらかぶりたい。
って、こういう女の欲望というか執着心というかがホラーです。