「パンズ・ラビリンス」そっちの怖さなのね!(感想)
(作中にイラストのようなシーンは当然出てきません)
監督・脚本はギレルモ・デル・トロ、2006年公開です。
ストーリー
フランコ独裁政権の恐怖政治がスペインを覆いつくしていた暗黒時代。
少女オフェリアは優しかった仕立て屋の父親を亡くし、母が再婚したヒダル大尉のもとへ赴く。臨月の妻を無理に任地に呼び寄せる大尉は、まさに独裁のシンボルのような恐ろしい男。直面する現実は残酷なことばかりだった。
そんなとき彼女が見つけたのは薄暗い森の中の秘密の入り口。
妖精の化身である虫たちに導かれ、そこで出会った<パン>牧神に告げられたのは、オフェリアこそ地下の王国の王女であるということ。オフェリアは王女として戻るための3つの試練を与えられ“パンズ・ラビリンス<牧神の迷宮>"での冒険が始まる・・・。引用元:Amazon CAPTCHA
パンより怖い大尉様
ダークファンタジーというジャンルに分類されている本作ですが、スペイン内戦のくらーい時代のつらーい話にウェイトが置かれています。
DVDのパッケージのふわふわ感から「ダークとはいえちょっと大人向けのネバーエンディングストーリーって感じかな?」なんて思っていたら大間違いでした。さすがデルトロ氏。
オフェリアの継父であるヒダル大尉は父親コンプレックスをおおいにこじらせたサディストという、パンより恐ろしい怪物。
大尉のふるう暴力は映画的なエンタメな撮り方はされていなくて、本当に相手を痛めつけたいとかサクッと死んでもらっちゃおうというサイコっぷりが多いに出ています。
その現実から逃避するための少女の妄想ともとれるパンズ・ラビリンスでの冒険も非常に気持ち悪くて恐ろしい。
アカデミー撮影賞・美術賞・メイクアップ賞を受賞したのも納得です。
見た人みんなのトラウマになったであろうペイルマン(妖怪「手の目」みたいなやつ)はもちろんのこと、現実世界のシーンも中世絵画のように影が真っ黒で、なんかずっと曇っていたり雨降ってたり、ジメジメ感や閉塞感があってボディブローのように効いてきます。
良い映画は、何年か経った後にもふっと思い出したりすると思うのですが、本作は間違いなくそういう映画なんじゃないかなと思いました。
小ネタ
- この作品、PG12だそうです。
今まであまり気にしてなくて今回初めて調べましたがParental Guidanceの略だそうですね。12歳未満は親の指導や助言が必要な作品です、と。。
いやぁ…私はこの映画について子どもにどんな助言がしてやれるというのだろう…
- 牧神パン
ギリシア神話に登場するパンですが、この作品ではちょっと悪魔バフォメットのイメージも入っているようです。妖精を一緒にいるとか。
ギリシア神話のパンは好色で色んな子に告白するけど見た目が醜いので全然もてないかわいそうな子らしいです。
- スペイン内戦
歴史にまったく疎いのでこの映画を機にちょっとだけ調べてみました。
本作の舞台となっているスペイン内戦は第二次世界大戦のちょっと前起こっていた独裁政権と反乱軍の戦争で、反乱軍が勝利したんだそうです。
大尉がなんとなく追いつめられていたのも砦の様子がさみしい感じだったのも合点がいきました。
オフェリアはあのまま大尉の娘としておとなしくしていたとしても、将来は明るいものじゃなかった…と考えるとまた泣けてくる…かわいそすぎる。。
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