「オーメン」かわいいのに怖い、かわいいから怖い(感想)
監督はリチャード・ドナー。1976年公開。
以下引用はあらすじです。
6月6日6時。妻が死産した駐英大使は、同じ日に生まれた孤児を引き取りダミアンと名付け育てる。ダミアンの周辺では不吉な殺人事件が多発、事件を追う大使はエクソシストであるブーゲン・バーゲンから、ダミアンこそが地上に復活した悪魔の子であることを知らされる……。
引用元:Amazon CAPTCHA
どうでもいいけど、ちなみに私の母の誕生日は6月6日です。
1970年代、アメリカでは悪魔教がおこってきて、1968年には「ローズマリーの赤ちゃん」、1973年には「エクソシスト」が公開され人々は反キリストの誕生を恐れて教会に通う人が増えたそうです。
ウチの子、悪魔の子かもしれん…という設定ゆえ日本人は細かいところまでこの映画の恐怖を味わいきれないのかもしれませんが、工夫を凝らされた映像と音楽は十分いまでも怖いです。
この映画を初めて見たのは自分が独身のときで、刺激的なホラー映画が好きだったので
「『オーメン』、あんまだなー」なんて思ってしまったのでした。
しかし自分にも子どもが生まれまして、それも男の子で、悪魔の子じゃなくても悪魔的ないたずらとか大暴れとかするのでググッと感情移入しました。
脚本のデイビッド・セルツァーはメイキングの映像で
「悪魔という妄想を描きたいと思った。妄想や想像は人の正気を失わせる」
というようなことを言っていました。
たとえばうちの子でも夜中一緒に寝ていて、フッと私が目を覚ますと、完全な無表情でこちらの顔をじーっと見つめていることがあるわけです。
本人はただ寝ぼけているだけなんですが、その現象を受け取るこちらが「悪魔がついているのでは…そういえばこないだも暴力ふるわれた!それに、びっくりするような暴言も吐かれた!」と妄想することであらぬ恐怖が生まれて増幅されていく。
それが愛すべき家族なのだから、容易に遠ざけるわけにもいかない…!
実際、基本的にはかわいいですし。
この映画へのオマージュとしては「エスター」があるんじゃないかと思います。
「オーメン」「エスター」「オーメン」「エスター」の反復横跳びしたい。
恐怖演出へのこだわり(特典映像より)
・血のりや特殊効果を使うことなく、役者の「目のクローズアップ」を使う心理的描写で恐怖を演出する
・犬が暗い廊下を歩くシーンで「アンチキリスト、アンチキリスト…」とささやくようなBGM(聞き直したけど、ラテン語なのかしら?)
・首チョンパのシーン。人は怖いシーンを見ると目を伏せて3秒くらいカウントして、そのシーンを見ないようにするので、監督は裏をかいてショッキングな画を長めにとった。観客が目を開けても、首がころがるシーンが!!(この話をしている監督がめっちゃ嬉しそうだった)
特典映像たっぷりすぎて見きれなかった。。。
インタビュー45分、ドキュメンタリーも100分くらい。
監督の映画への情熱と丁寧な姿勢が見られて大満足でした。
今夜のホラー考まとめ
血のりなど【閲覧注意】に頼らないホラーは案外記憶に刺さる。
(人死にのシーンは十分ショッキングでしたけども)