「バタリアン」ゾンビ好きならキュンキュンのゾンビコメディ
監督はダン・オバノン。
「エイリアン」「トータルリコール」などの脚本を手がけた氏の初監督作品がこの「バタリアン」だそうです。
米公開は1985年。
<ストーリー>
1969年、軍人病院の薬品事故が原因でこともあろうに死体が次々に蘇生してしまった。そのはケンタッキー州のとある医療倉庫に長年ミイラ状態で極秘保管されていた。ある日そこで働くフランクとバイトのフレディが恐る恐る中を覗いてその箱を叩いてみると突然謎のガスが噴出し、不老不死のゾンビ"バタリアン"が蘇えってしまった!ガスはどんどん充満し医療倉庫に保管されていた解剖用の死体の数々が動き出した!! 近隣の墓地の死体までどんどん蘇り、人間の脳みそを求めてゾンビが街中で暴れだした 。上半身裸のオバンバ、全身ネバネバのタールマンといった人気者(?)が続々登場して大暴れする!引用元:
現代ゾンビ界での基本ルールとなっている「ヘッドショット」はバタリアンのゾンビ達には効果がなく、首ちょんぱしても動くし、腕だけになっても魚のようにピチピチ跳ねる。
それを大人の男たちがつかまえようとドッタンバッタンやっているのがとってもかわいい。ホラーだけど、確かにコメディです。
初見は10年ほど前。今回は監督とプロダクトデザイナーのコメンタリーつきで鑑賞しました。
低予算なりの工夫
たとえば映画冒頭で登場する「縦割り犬」(犬が半分にスライスされた標本がゾンビガスの影響で動き出す)は小型犬にするしかなかった…本当はグレートデンにしたかった(泣
といった具合に、低予算での制作だった本作。
今ならば低予算のB級ホラーでも簡単にCGで処理できてしまうのでしょうが、当時はそうもいかない。低予算なりの工夫がいろいろ凝らされていたようです。
同じく冒頭で蝶の標本が動くカットも、図鑑のページを切り取って2つに折ってピンで留め、カメラに映らないところから段ボールであおいでパタパタ動かしたり。
そういった人の手による動きが、妙に有機物でも無機物でもないような違和感が出て、ほのぼのした気持ち悪さ(?)がよく出ていました。
CGじゃないってこと
先日観た「クリムゾン・ピーク」もですが、実際に小道具やセットを可能な限り作っているということは、やっぱり映像の強度が違うもんだなと思います。
「バタリアン」は予算がなくてVFXを使えなかったのでしょうが、
腐肉がしたたる「タールマン」のニオッてきそうな感じや、上半身だけのお婆さんゾンビ「オバンバ」のパペットの動きも人が動かしているからこその血が通っている感じ、それこそが、今見ると映画として愛される理由なんだなと思えます。
(Wikipediaにはタールマンはタール漬けになってたと記述がありますが腐肉なんじゃないのかな?)
あと、バタリアンのゾンビは脳を食べます。そのシーンに使われている脳は牛の脳だそう。
ウゥェ~。役者に食えって言うだけでは説得力がないと思った監督はみんなの前でムシャムシャ食べて見せたらしい。ウゥェ~。
脳を食べるシーンの役者さんには「脳食べボーナス」が支給されたとか笑
コメディとはいってもその辺にしっかりホラーとしての魅力も入ってます。
20代30代の若年ゾンビファン層からするとゾンビ映画としては拍子抜けなのかな?
でもヘッドショットでバンバン倒して、みたいなゾンビに飽きてきてませんか?
そんな貴方にバタリアン!
ウォーキングデッドの1話に出てくる上半身だけのゾンビってオバンバへのオマージュなんでしょうか…
フランク・ダラボン氏ならやりそうな気もする。
今夜のホラー考まとめ
手作りの温かみ?がホラーにライブ感を与えてくれる。