「吸血鬼ゴケミドロ」コンプライアンス糞食らえ!な名作
「マタンゴ」と2大邦画ぶっとびホラーとして言われる「吸血鬼ゴケミドロ」(1968年)を見ました。監督は佐藤肇さん、84分。
「マタンゴ」は円谷の本気ホラーでしたが、こちらのゴケミドロは松竹の特撮ホラーです。
高英男さんの演技がキモかっこ怖い
吸血鬼、と名前は付いてますが、ゴケミドロはぷるぷるの水銀みたいなスライムみたいな物体。
これに寄生された人間は吸血鬼みたいになってしまうというものです。で、寄生されるハイジャック犯役をやっているのが高英夫さんという方なのですが、この方、本業はシャンソン歌手なんだそうで。
50歳の時のご出演のようですから…なんとも麗しい!
この妙な存在感がこの映画を余計印象深いものにしていると思います。
コンプライアンス?なんぼのもんじゃい!
ゴケミドロへの生贄として誰がふさわしいか?と生き残りのメンバーが議論する時、「ガイジンなら後腐れがない」と白人女性を指名したりと非常に差別的。笑
昔はこんなだったよな…
いやはや、ここまでだと引きますが現代の作品も恐れず色んな表現をして欲しいです。ギリギリな作品いっぱい見たい。。
なんせコメンタリーつきも見て欲しい!
樋口真嗣監督とみうらじゅん氏、あと松竹の広報の人かな?のコメンタリーが収録されています。
再生の前に「勝手気ままに喋っているのでファンの気持ちを害するかもしれません」的な注釈が入るほどテキトーなコメンタリーで、爆笑して見ました(o´罒`o)
額が縦にパカーッと割れてゴケミドロが出てくるシーンでは
「これ完全に女性器ですよね」とみうら氏。
周りがひやっとするような発言を淡々と放り込んでくる氏はすごい。
ひっじょーに面白かったです。
そういったおフザケコメントも連発されるなか、映画の裏話も聞けます。
例えばこの映画では空が赤いんですが
クエンティン・タランティーノ監督が「キル・ビル」を撮るときに「ゴケミドロの空の赤にしたいんだ!」とオーダーしたそうで。
日本大好きとは知ってましたが、相当いろんな作品を見てるんですね、タラちゃん…さすがだ(´-`;)
本日のホラー考まとめ
マタンゴより人間のいやらしさが出てるズッコケホラー
特撮感は円谷の方が上か…?
リドリー・スコットの「エイリアン」たち。激シブSFホラーがやってきた
「エイリアン」の前日譚としての作品「プロメテウス(2012年)」「エイリアン:コヴェナント(2017年)」を観ました。
一応、「エイリアン」の80年前という設定のようで、明確に「エイリアン」の世界につながっているわけではなさそうだったりありそうだったり…なんですが(´-`;)よーわからん笑
華やかなジェームズ・キャメロンの「2」やデヴィッド・フィンチャーの「3」と比べると、リドリー・スコット氏の「1」は暗く重くしんどい怖さがあり、そちらの方が私の好みだったりしたので、この「プロメテウス」「コヴェナント」は監督ならではの味が出ていて好きでした。
しかしあまり受けが良くなかったようで…もう1作品つくられる(3部作になる)予定だったのが今のところ話がなくなってしまっているようです…残念(>_<)
SFは理由をとことん説明する=ホラーから遠のくの法則
が成り立つなんてことを考えてました。今までは。
「エイリアン」もなんだか分からない生命体が殺意を持って向かってくるという「未知の恐怖」の要素があるから怖いんだと。
でも、このエイリアンがなぜ誰にどのようにして造られたかを説明すればどんどん怖くなくなっていってしまう。生物兵器なのね…
しかし、リドリー監督はちゃんとホラー映画としての楽しみも味わわせてくれる巨匠なんだなと感服しました。
女主人公がずーっとピンチ、ずーっとしんどい
シガニー・ウィーバー演じるリプリーがずっとピンチでゼエゼエ言うのが「エイリアン」の醍醐味だとしたら、「プロメテウス」も「コヴェナント」も、色気のない女主人公がずっと苦しくてずっとしんどいです。
本来か弱いはずの女性が、強くしぶとく恐怖と戦う図はホラーの真骨頂。
「コヴェナント」はさらに、感染or病気モノホラーとしての側面もあり、私は非常にゾクゾクきました。
人工知能の最果ては…
SFに明るくないので人工知能がどう、近未来がどうというSF愛好家たちの議論も知識がないまま見ましたが、人工知能は極まっていくと創造主になりたがる…という思考の流れが非常に納得いきました。
何かを生むということが人工知能と人間を大きく分ける壁なんですねえ。ふむふむ。
SF映画として見るなら「プロメテウス」の方がオススメだなあと思ったりしました。
いやしかし「エイリアン」はかっこいい怖いけど、ネオモーフ(コヴェナントで初登場した白いヤツ)はキモ怖い…白い方が怖い…
ホラー考まとめ
もうコスりきったと思われた「エイリアン」がちゃんと面白いホラーとして再び戻ってきたのはリドリー・スコット監督のおチカラ!
「口裂け女VSカシマさん」「口裂け女VSメリーさん」ほとんど戦わんやないの!
以前、白石晃士監督の「貞子VS伽椰子」がなかなかに熱い作品だったので、Jホラーの○○VS○○モノを立て続けに見てみました!てか、イラスト描きましたが口が裂けてない。しまった!笑
ちなみに貞子VS伽椰子の感想はこちら↓
ちなみにそれぞれ監督さんが違う作品なので、「VSカシマさん」で口裂け女が勝利したから続編でメリーさんと戦う的な、トーナメント的なお話ではありません(私は勘違いしてレンタルしました笑)。
ツッコミどころ満載の鬼ごっこ映像「VSカシマさん」
浅沼直也監督。65分、2016年。
ツッコミどころ満載で、友達とスナック菓子をつまみながら(さらにはお酒で若干酩酊しながら)見るとちょうどいい娯楽映画なのではないかと。
鑑賞後、良い意味で「あーーー!時間が無駄やったなー!」と快哉を叫ぶでしょう。いい意味で!
あらすじもへったくれもなく、浮気してる男女がなぜか住宅街で口裂け女とカシマさんに追っかけられます。
冒頭、口裂け女主観の映像で華麗なパルクールをしつつ女の子を追っかけて鎌で襲うシーンがあるのですが、鎌を持つ手が完全に男だったり…
人を襲うときに、振り上げたり振り下ろしたりの鎌に髪の毛が絡まっちゃって大変そうで、ロングヘアでいることに全然慣れてなかったり…
そもそも「私、綺麗?」とか全く言わないし、走りもそんなに早くないし、ただのイカレた女性って感じもします笑
まあ口裂け女には地域性とかあるようなので…(´-`;)
カシマさんもカシマさんで、下半身が見えないような角度になるように物陰から絶対に出てこない奥ゆかしさ笑
なんかどこかのシーンでちょっとだけ見えてた気も。
肝心の「VS」な要素もあまりなく…
さぞや面白いキャットファイトが見られるだろうとご期待の方は肩透かしを食らいます。エンカウント、1回くらいしかしない。
エンディングは、男と女が戦って噛み付いて抱き合ってキス…という、、
なんていうか、脚本家さんか監督さんか誰かの性の志向が垣間見えるような演出で、そういう意味でゾワゾワきました。笑
都市伝説をベースにした創作モノ「VSメリーさん」
工藤渉監督。75分、2017年。
創作といえば、どの作品も創作なのでしょうが、この「口裂け女VSメリーさん」は設定からして非常に創作的な要素が入っています。
口裂け女の口が裂けた理由が、整形手術に失敗したことではなく、殺人者に猟奇的な方法で殺されたということになっています。その怨念でお化けになったと。
で、なぜかメリーさんは毎年25歳の男性を狙う…という設定。
この二人が、、まあ、ネタバレすると、、姉妹ということで、同じ男性を好きになってしまった過去があり…という愛憎劇に仕上がっています。
趣向は面白いのですが、ホラーという感じではなくなってくるなあ(´-`;)
きょうだいゲンカですし。。
そんでもって、口裂け女もメリーさんも可愛い&美人さんなのです。
主役の高城亜樹さんを食う勢い。
こちらの作品に関してはツッコむとかそういう次元でもないようなノリなので、そして好みが分かれそうなのでとりあえず一人での鑑賞がオススメです(一人でじっくりこういう映画見るメンタルの強さ要)
今夜のホラー考まとめ
口裂け女の登場からほとんど30年。もう誰がどんな風に料理してもええんやなって思いましたよ!オープンコンテンツ!
「怪談グランプリ2017(2017年8月6日放送)」稲川先生曰く過去最高レベルの大会でした
関西テレビで毎年放送されている「怪談グランプリ」の感想です。
一番怖い怪談を話したのは誰だ!の大会も今年で9年目。今年の評価方法は、各地区の代表が東西で2ブロックに分かれ、東の一番怖かった人と西の一番怖かった人が決勝で雌雄を決するというものです。
何年か前は若い女の子メインの観覧を入れていたりして、キャー!ヒャー!って声も入っていましたが、今回は審査員だけが聞いていました。
前年までは出場者として出演していた三木大雲さんが審査員の一人になってました。
TBSの「世界の怖い夜」はもう、、、やらせは良いとしても、素材さえも無許可利用だったり散々で、恐怖映像というジャンルがもう頭打ちなんかなと思わされたりして残念ですよね…
そんな貴方に!怪談ですよ!笑
備忘的に感想をざざっと。
北海道代表:志月かなでさん(どさんこ女流怪談師)
「毛無山」…山で怖い目に合う話。幽霊の造作を説明するのに「ザンギリ頭」と言っていて「???」となりました。乱れた髪って意味なら「ざんばら頭」では…ザンギリって後ろに撫で付けてる感じ?あんま怖くなくない?
前に山口綾子さんの怪談DVDを見たときに、神社の本殿のことを「本堂、本堂」って言ってました。その時も感じましたが、怖がらそうとゆっくり丁寧に話していればいるほど言葉のチョイスに引っかかると後の話が耳に入りづらくなりますね…
東北地区代表:黒木あるじさん(みちのく怪談の伝道師)
「即身仏」…VTRに声が入っちゃった系の話。関テレ動画で氏が話していたイタコの話は怖くて面白かったですが、こちらの話はオチがちょっと見えてしまい。。。むかし話なノリもあって私は好きですがインパクト薄かったかも。
関東地区代表:ありがとう ぁみさん(怪談アミーゴ)
「ルームシェア」…芸人仲間と住んでいた借家で起こった怖い話。日常に潜んでる、急に怖い話がお得意ですねー。ぞわぞわしました。稲川淳二さんがもう「あみちゃん」って呼んでて、贔屓半端ない笑 でもそれだけ実力もあるし場数も踏んでいらっしゃいます。
東海地区代表:桜雪さん(仮面を被ったオカルト女子)
「ゆめ」…ちょっとたどたどしい語り口が可愛かったです。ぷくぷくしてて可愛い。
関西地区代表:下駄華緒さん(火葬場ミュージシャン)
「手」…元火葬場職員さんとのことで、火葬のときに起こった怖い話。話としては稲川先生の「長い死体」に近いですが、(水死した子におばあさんの水死体がしがみついていた話)それ、焼き場まで気づかんかったん?警察はどしたん?と疑問が先に出てしまい…。
元火葬場職員さんなら、生きてる人間のもっと怖い話をいっぱい持っていそう笑 それ聞きたい笑
中国地区代表:早瀬康広さん(呪われた一族の末裔)
「シャンシャン」…家族が呪われた話。岡山ご出身ということでなんだか話の感じも横溝正史感が。怖かったです。芸人さんかと思っていましたが、構成作家さんなんですね。
新婚さんらしいのですが、お嫁さんが家に入ると良くないので、ご自身が婿に出たそうです。それだけで話にリアリティ出ますね…
四国地区代表:恐怖新聞健太郎さん(うどん県から死を叫ぶ!)
「花柄のワンピース」…友達が女の幽霊に取り憑かれる話。話としては桜金造さんの怪談「1ミリの女」に近いですが、やっぱりこういう話怖い。そして何より、恐怖新聞健太郎さんの白塗りの死神的ビジュアルが怖いー。
私の中で見た目は優勝です。
九州地区代表:濱幸成さん(命知らずの心霊ハンター)
「首が出る」…心霊スポットで見たお化けの話。週4で筋トレをする心霊探検家さんだそうで。いろんな書類の職業記入欄になんて書いてるんだろう…
優しい雰囲気で博多弁で話す濱さん、一晩中聞いてみたいなあ。
予選ブロックは以上です。
稲川先生は、東ブロックではぁみさんに、西ブロックでは濱さんに投票していました。
ちなみに山口敏太郎さんはぁみさんと早瀬さんに入れてました。
決勝はぁみさんVS早瀬さん
ぁみさんにとっては2連覇がかかった今大会でしたが、、結果は早瀬さんの優勝でしたー。
しかしながら、ぁみさんには稲川先生と三木大雲さんが投票してたので、エンディングで悔しそうではありながら顔はニンマリしていたのが印象的でした笑
早瀬さんは、山口敏太郎氏曰く「方言を有効に使い、地方色が一番出ていた」。
確かに方言って心にじんわりじんわりキますよね。
怪談、どんなネタを持っているかだけでなく、話芸としても奥が深いんだなと思いました。
例えば、初期の「すべらない話」みたいに、同じ話を話者を変えてみたりっていうのも見てみたい。そういうのは、怪談ライブとかに行けば見れるんだろうか…
何はともあれ、来年は10周年!オールナイトイベントとかやってくれないかな笑
今夜のホラー考まとめ
方言、ビジュアル、話し方…。怪談って奥が深いー!
「怪談グランプリ2017プレミアムナイト」感想。本戦への期待を自分で高める
関テレが毎年行ってる「怪談グランプリ」、その2017年の前夜祭的な動画が関テレ動画で配信された!とのことで意を決して有料会員になり、見てみました(o´▽`o)
(ちなみに稲川先生やMCのますおかはこの動画には出てきません)
ネタバレしないようにザザッと出場者の紹介と感想を。
日本各地の代表が珠玉の怪談を持ち寄る…らしい。
怪談師さんに対して疎く、ニワカな感想しか持てないのが恥ずかしいですが。
見る価値があるかどうかの判断は…ご自身次第です!笑
志月かなでさん:『プール』、北海道代表のお嬢さん。怪談イベントで優勝?もしてる実力者らしい。オーソドックスな怪談でした。BGMがうるさい(´-`;)
黒髪がツヤツヤで羨ましい。
黒木あるじさん:『延長』、東北代表。イタコのなかでも特殊能力を持った人の話で、ご当地色もきちんと出ていて、話もオチが読めなくて面白い!和柄アロハの小さいおじさんなのに…笑
途中つっかえるところもあるけど落語っぽい語り口が上手で話にひきこまれました。
デビュー7年目で2,300くらい怖い話を集めたのだそう。蒐集家、研究家って感じでもっと話を聞いてみたい人です。
ありがとうぁみさん:『玄関の向こう』、初めて見た時は小太りの若手芸人さんって感じだったのに、なんだかいつのまにか、和服で巨体で江原さん的なシルエットになってる笑。
2016年の覇者であり、第二の稲川淳二とも言われるのも確かに納得の怖さ。なんだかよく聞くような怪談なのに、いかにも「この話怖いやろ~~」感を出さずテンポよく話してて怖かった!久々に、怪談なのに目をぎゅーっとつむりながら聞いてしまいました笑
(wikipediaでの説明文が好意的でめっちゃ長文なのにビックリ。お客さんやスタッフからも好かれてる人なのかなと)
このあと某東大卒三重出身アイドルが東海地区代表として怪談を話していたんだけど、番組紹介からは抜けているなあ(´-`;)
でも、、正直、お話はネットで読んだことあるやつでした。(だから紹介から外されてたのかな?)
一応、有料会員限定の動画なので残念。
可愛いかったけど。
早瀬康広さん:『黒い納屋の神』、都市ボーイズというお笑い芸人さん、中国代表。岡山のお話。滑舌がやや悪いけれど話自体は土着信仰的な怪談で私は割と好きでした。
この早瀬さん、一族がむかし村八分になったっぽいようなことを言っていました。むしろそっちの話の方が怖そう。
恐怖新聞健太郎さん:『ピンポン』、アンゴッドリーというデスメタルバンドのボーカルさんだそうで、ビジュアルの怖さは一級品でした。
話も怖かったんだけど、ぁみさんと若干ネタかぶりな部分もあって、割を食ってた印象です。
四国代表なのですが、四国っぽさがないのがちょっと寂しい。
濱幸成さん:『旧仲哀トンネル』、健康的でにこやか、博多弁が耳に気持ちよくて怖いかどうかよりもっと聞いていたいと思わせる人でした(o´罒`o)
話の内容はあまりインパクトがなかったんだけど、でも実体験ってこんな感じかも…と。リアル感は一番あるお話でした。
三木大雲さん:『映画部』、さすが怪談住職、お話がうまい。怖がれる部分をしっかり作ってる。後からストーリーを整理すると正直怖くない話なのに、聞いてる間は本当に怖い。これがうまい怪談ってやつなのね…!
山口敏太郎さん:『戦争体験』、『隅田川ののっぺらぼう』関西弁で実話怪談を、江戸弁で古典怪談を披露していました。
落研出身で元々怪談師をやってたってことを知らなかったので語りのうまさにびっくり(*ω*)
しかしご本人も「まだ修行と練習が足りない。いまはまだ50%の出来」と言うように、噛んだり詰まったり、編集されてたりしてましたが(´-`;)
敏太郎さん曰く明治初頭までは怪談師というものが落語家と同じような感じで存在してたそうで。夏場は怪談の方が儲かるということで落語家が怪談を話すようになり怪談師が駆逐されてしまったのだそうです。
で、100年くらい途絶えていた怪談師というものを再興しようと敏太郎さんは頑張ってきたらしい。
話芸としての怪談が、もっといっぱい聞ける時代になっていくのかなぁと思うと楽しみです(o´▽`o)
…って、、あれえ?
関西地区代表と甲信越代表がいなかったぞ??!?
怪談グランプリ本戦には出場してるんでしょうか。
ありがとうぁみさんって山口出身らしいけど関東代表として出てるし(´-`;)ちょいちょい関西弁だし(´-`;)活動拠点が東京ってことなんだろうか。
なにはともあれ、8月6日の本戦放送を楽しみに生きていきたいと思いますのよ!
今回はトーナメント方式らしい。こんだけ評価方法が変わるコンテストもなかなかないなぁ笑
今夜のホラー考まとめ
審査員を務める三木大雲さん、山口敏太郎さんの怪談が聞けたことに加えて(本戦では話さないし)、他もけっこう怖い話があったので私としては会員登録してでも視聴する価値は一応あったかなと思います(o´罒`o)!
「コワすぎ!」「オカルト」「殺人ワークショップ」胸を熱くするホラー
「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」のFILE1と2だけ見て止まっていた、白石晃士氏の作品鑑賞を(家族が心配する勢いで)ダダダーッとしました。
あと、白石氏の著作で自らの作品やフェイクドキュメンタリー作りとはなんぞやみたいなことを語ってる「フェイクドキュメンタリーの教科書」も読みました。この本、赤裸々でめちゃくちゃ面白かったです。
「オカルト」→「殺人ワークショップ」→「コワすぎ最終章」の流れはアツすぎる!
とりあえず私はコワすぎを見てしまおうと、FILE3、4、劇場版序章、劇場版、最終章と見たのですが
最終章に出てきた謎のおじさん「江野」のことをもっと知りたいって思ってしまったが運の尽き笑
これで白石作品にどっぷりハマることになってしまいました(o´罒`o)
江野くんを軸に考えると、順番的には「オカルト」「殺人ワークショップ」「コワすぎ 最終章」となるようですが、私は逆から見てしまった笑
それでも充分胸が熱くなりました。
ホラーで胸が熱くなるって、すごい!
オカルト(2009年)
まさに江野ライジングって感じの作品。
2005年、ある観光地で起きた無差別殺人。犯行直後に犯人が海に飛び降り自殺。白石晃士は事件の被害者である青年・江野祥平に出会い、奇妙な証言を聞き出すが…。「口裂け女」の白石晃士監督が放つ、フェイクメンタリーホラー。
派遣バイトで日銭を稼ぎ生活する江野くんのキャラは監督自身が重なっているそうです。
ネカフェ難民とか派遣バイトの劣悪な労働環境とか、当時の世相も反映した作品でもあります。
最後は自爆テロに話がつながっていくこの作品、信仰とテロ、みたいなところで監督は地下鉄サリン事件をモチーフにしたそうですが、撮影直前に秋葉原の連続通り魔事件があったり(脚本は既に出来ていた)と、ぶっ飛んだ内容ながらリアリティもけっこうあります。
この映画の中でかなり心にグサグサくるシーンとして、江野くんが100均でスナック菓子やカップ麺の重さを確認するところがあります。
あれは宇野祥平氏のアドリブだそうです。
あと、お金を受け取るときにお札の向きを揃えるところも。
脚本を読んでしっかり役が入っている役者さんなんだなあと。
ほんとにウダツの上がらないフリーターにしか見えませんもん。
時間を置いてまた何回か見たくなる映画でした。
殺人ワークショップ (2014年)
同棲する恋人から日常的に暴力を振るわれているアキコの元へ、奇妙なメールが届く。そこには「殺したい人はいませんか? 殺し方、教えます」と書かれていた。アキコはそのワークショップへと応募する。だがそれは、江野と名乗る謎めいた講師の指導のもと、参加メンバーが協力してターゲットを本当に殺していく“殺人実践型ワークショップ”だった…。
ENBUゼミナールという専門学校の映像俳優コースで白石氏が講師を務めた際に作られた映像作品の再編集。
「オカルト」の結末で異世界に行ってしまった江野くんが、異世界で力を身につけ降臨したと感じられる世界観。
殺人をすることで魂を解放する…!という、倫理的にアカンことなのではあるのだけど、作品として最後はなんだかすごくスッキリしてしまうのでした。
終盤の廃墟のシーンは、初めは山の中で撮影する予定だったのが、撮影日に雨が降ることが分かって急遽変更になったのだそう。山より雰囲気あっていいです。
コワすぎ! 最終章
最終章は脚本作りに難航して、音づくりや合成、編集に対して白石氏は納得がいってないらしい。
前作の劇場版で世界を救い損なった工藤と市川を助ける為に、カメラマン田代が奮闘します。
パラレルワールドに出現する力を得た江野くんが登場。
終盤で田代のことを「白石くん」と呼び間違えたり、敬語はよそよそしいやんか、と言ってみたり。
「オカルト」で二人で青春を(文字通り)爆発させた白石くんと江野くん。
江野くんは白石くんを救いたいっていう強い思いがあったようです。
まどマギが頭の片隅にあった的なことを白石監督も言っています。
確かに、まどかに対するほむらちゃんの切ない思いに似ているー!
この映画はおっさん二人ですけどね笑
「フェイクドキュメンタリーの教科書」はファン必読!くらい面白かった
予算が少ないとか赤裸々に語りまくっている1冊。
アカデミー賞作品の「バードマン」をクサしてたりもしてます(o´罒`o)
しかし作品に対する熱い思いもビシビシ。
フェイクドキュメンタリーにおいてカメラワークは肝。「画的にいいから撮っておこうよ」と共同監督に言われたが、カメラがいつそこに移動して撮ったかに説得力が持たせられないのでカットした、というエピソード。
「観ている人は気づかないんじゃないか」と共同監督は言ったが、白石氏はそういう所も気を遣うべきだと述べてます。
「客は分からない」「素人は気づかない」って、どの分野においてもプロが陥りがちな罠ですよねー。
そこでいかに手を抜かないか、お客さんとか作品に対して誠実であるかってすごく大事だよなあと感動しました。
具体的に気づかなくても、何となく不誠実な感じって伝わるもんですし。
あと、「映画でいう『気配』はほぼイコール『音』です、と言ってて、同じことをジェイムズ・ワン監督も「死霊館」のメイキングで語ってたので、なるほどやっぱり名監督は同じ感覚を持ってるのねーと思いました。
見る側も、耳をすませて静かな環境で鑑賞するとよりホラーが楽しめるってことですね(当たり前か(´-`;))。
ちなみにテレビの放送事故へのクレームって、画像が乱れたときより音が消えちゃった時の方が圧倒的に件数が多いそうです。
人間は音の情報が不自然な方が気持ち悪いと感じるって事だそうで。
ソースは私の旦那。嘘かもしれません笑
今夜のホラー考まとめ
ちゃんと怖いところは怖くて、最後は胸が熱くなる。白石作品にヤラレました!
ちなみに…
江野くんが行ってる派遣バイトの同僚が車に轢かれるシーンは合成だそうなのですが、、
もとはアクションをやってたという韓国人と監督があのシーンについて話したところ「韓国ならあのシーンは本当に轢かれますよ」とびっくりされたのだそう。
えー!マジで轢くってかー。怖い。
「東京二十三区女」ホラー版ブラタモリ(っぽい)小説
長江俊和氏の三作目となる著作でホラーミステリー。2016年9月出版。読みました。
東京都内に存在する、暗い伝説が残るスポットを巡る女記者と、取材に同行する民俗学の男性講師のお話。
以前読んだ氏の新書『検索禁止』にも、この小説が紹介されていました。氏は長編小説って書いてますが、短編の連作です。
東京の各区にまつわる都市伝説や事件を元ネタにしたホラーで、本作は板橋と渋谷、港区、江東区、品川区の五つの区で構成されています。
最終的には二十三区全部書く!って『検索禁止』に書いてました。そうなったら面白いなあ。
今回は謎解きほぼなし
私はずっと関西暮らしで東京にちょこちょこしか行ってないので、土地の感じがうっすらとしか分からないんですが、それでも説明が丁寧なのでなんとなく理解しながら読めました。
『出版禁止』の時のような謎解き要素もほぼないです。
最初の章「板橋区」で、縁切り神社が出てくるんですが、そこに登場人物が奉納した絵馬に暗号文が書かれているくらい。
読み始めた当初、今回も謎解き満載かなー?と腕をブンブン回して、暗号文を書き写して…てやってましたが、そういう意味では肩透かしでした(´-`;)
(ちなみにこの暗号すら最初全然分からなくて、横から見てた旦那に瞬殺で解かれてしまう屈辱)
(アナグラムではない、ということだけはお伝えしておきます)
説明役として主人公の女子にずっとついてくる「先輩」の正体も途中からなんかバレてきちゃいますし。
ちなみに縁切り神社は京都にもあるんですが、行って絵馬を読んでなかなかに黒い気持ちになった記憶があります(*ω*)
ブラタモリのホラーバージョン、世にも奇妙な物語風
「渋谷区」では、都市化の為に渋谷川をコンクリートで蓋して暗渠(アンキョ)にした…というのがお話のベースにあったり、なんかブラタモリ風でお勉強にもなりました。
そしてしっかり毎回ちょっとゾッとさせてくれます。
幽霊的な怖さやクリーチャー的な怖さ、精神的にくるやつ、不衛生なやつ…となかなかにバリエ豊富。この辺りはさすがだなあと思いました。
東京だからいいんだろうなあ
いま、場所をテーマにホラーを書くには、東京っていい感じに歴史が深いようで浅いようで…な土地で、人間の出入りが激しくて、首都だから移り変わりも激しくて…っていうのがちょうどいい場所なんだろうなあと思いました。
江東区の夢の島の話は特に思いました。莫大なゴミの処分をする場所だから、ヒトが混じってても気づかれない…なんて本当にありそうで。
関西だと、例えば京都の歴史が深すぎてホラーにしても別のものになりそうですし。
「大阪市二十四区の女」とかだと、急に上田正樹感出ちゃいますし。浪花節。
「西成区の女」とか。…んー。(読んでみたいけど)
今夜のホラー考まとめ
知的好奇心と怖いもの見たさを満たしてくれる、一粒で二度美味しい小説でした!
(謎解きしたいぜ!な人には物足りないかも)